来月から始まる13期下期の体制変更について語った40分のうち、数回使用した“潮目”について解説したい。
この事について語った理由としては、下半期にこれだけの体制変更を行うことは珍しく、結果だけを報告しても皆が理解できないであろうと思ったから。
時代が変化している現在、それを一時的な現象と捉えるのか、もしくは大きな”波”の予兆と捉えるのか。
自分は時代の大きな“波”的変化の予兆に感じられてならない。
だからこそ、今、次世代を見据えて、経営の方向性をシフトする必要があるのではないかと。
このシフトチェンジは、これからやってくるであろう数年後の大きなうねりの中で生き残り、成長するきっかけになるであろうという思いがある。
次世代、波、シフトチェンジ・・・、これらの言葉から思いついた懐かしい書があった。
アルビン・トフラーの「第三の波」1980年著。同じく92年?著の「パワーシフト」。
アルビン・トフラーはご存知の方も多いとは思うが、アメリカの未来学者で、当時は結構話題になった。
自分は両書とも20代の頃に読み、相当な刺激を受けた。
それにしても、彼(ら)は、かなり的確に現代社会を言い当てている。
「第三の波」で、彼は第一の波で農業化、第二の波で産業化、第三の波で情報化社会の到来を予言している。
1980年代にパソコン時代の到来を予言し、マスコミ型の情報伝達から個々人の情報伝達が主流になる。
現代のSNS的なコミュニケーションを予測している。
「パワーシフト」では“力”の所在が、前世代で暴力から金力にシフトし、次世代では知力にシフトすると予言している。
近著(06年なのでそれほどではないが・・・)「富の未来」では、知識商品が富を拡大化する可能性を予想している。
自分にはトフラーの言うところの「第四の波」が、今まさに始まっているような気がしてならない。
もちろん、未来学者ではないので社会全体の事について予測はできないが、自社の周辺事情から多少の変化を読む事はできそうだ。
例えば、前回触れた採用マーケットの変化。
新卒採用や中途採用の概念や手法を開拓したと言って過言ではない「リクルート」の採用部門の業績不振は、この国の採用の考え方とやり方の変化を象徴している。
これから数年後に採用媒体というものが存在しているのかは疑問である。
マス型の媒体で、多くの学生を集めて採用側が一元的に選抜していくやり方は、個別コミュニケーションの時代には何とも時代遅れで、就労者の個性を潰している。
彼らの業績不振は、そのような時代の変化をヨミきれなかった事業推進者の責任と思う。
採用マーケットにおいて、新しい波が勃興し始めていることも事実。
しかし、それは旧来の大手独占の金にモノを言わせるような事業ではなく、「知」を活用した資金力のない中小企業から始まっている。
これらの事からも変化は既に始まっており、「採用マーケットの変化」は一時の現象ではなく、大きな波の変化の始まりであることが予測できる。
我々の事業はどうだろう?
いつまでも同じモデルで通用するのであろうか?
ユーザーやクライアントはそれに満足しているのか?
波の変化は必ずやってくる。そのときになって後悔しても遅い、変われるのは今なのだ。
これからやってくる時代は、規模の大小で勝敗が決まる時代ではない、新しい価値を創造する「知力」を持った企業が時代を制する。
我々は衰退していく「前世代の生き残り」になるのか?、「次世代を産み出す」ディスクロージャーになるのか?
その選択は、ここにいる社員全員が行うものである。
皆に「プロフェッショナル」としてのスキルと判断力をもってもらいたい。
その思いを具現化するために、今回組織を変更する。
この組織は今期の残り半年を乗り切るものではない。
今後の我々の進むべき未来を作り出す、きっかけの半年である。
だから、今が変化の“潮目”なのである。