先週、某大手求人媒体会社の訪問を受けた。
久しぶりに求人媒体の話。
セールストークにやっぱり出ました「有効求人倍率」
「有効求人倍率が1倍を超えてます。採用は完全に売り手市場になっていますので、どうしても予算は・・・」
まぁね、そりゃ使うよなこれ。
ちなみにこの会社(テレビCMでも有名だけど)とっても良い営業マンと上司さんでした。
媒体も人材紹介もお願いしたので、ちょっとネタに使わせてもらっちゃた。
ということで、求人系企業に絶賛大人気の「有効求人倍率」について現状分析してみましょう!
毎月月末にやってくる「有効求人倍率」と「完全失業率」の発表。
どの新聞でもテレビでも同じ数字を同じように発表しますなぁ。
9月の有効求人倍率は「1.24倍で先月よりも0.01上昇」
これが公式発表でこれ以外でもこれ以下でもない。
さてそれでは有効求人倍率とは一体なんでしょうか?
「仕事を求めている人(求職者)の数に対して人材を求めている企業(求人数)がどれくらいいるのか?」
という数字。
一人の求職者に一社の求人であれば「1倍」
これが100万人に対して100万件の求人があっても「1倍」
1.24倍ということは100万人の求職者に対して124万件の求人企業がある。
ということになる。
では、ここ8年の求人、求職そして就労実績をグラフで見てみよう。
いかがだろうか?
求人数が増加して求職者の数を追い抜いていることがわかるだろう。
平成25年の第4四半期を境に状況が転換している。
この頃から1倍を超えているのだ(求人倍率ね!)
ちょっと気になる推移がある。
「就職件数」だ。
これについては後ほど詳しく述べるが、就職(転職)成功件数が急減している。
さて、求人数が求職数よりも多いのだから転職も就職も楽勝!と思うのはちと危険!
この求人件数の内訳を調べてみよう。
今年9月の有効求人件数の内訳である。
お分かりであろう、求人の約半数が「パート、アルバイト」である。
さらに正社員の中には「派遣や契約」も含まれているので、いわゆる正社員の求人はこれよりも少ない。
ちなみに、これを基にした有効求人倍率を出してみた。
パート、アルバイトの有効求人倍率は「1.56倍」
正社員の有効求人倍率は「0.78倍」(両方共、厚生労働省データから流用)
したがって正社員の有効求人倍率は未だ1倍を超えていない。
パートアルバイトの求人倍率に引っ張られて全体が上がっているだけなのだ。
「そうなの?じゃあやっぱり転職しない方が良い?」
と思っているあなた。
安心してください!現在すでに1倍を超えている正社員の求人ありますよ!
ただし「職種」は限定的ですがね。
以下、転職有利職種!
・医師、薬剤師 7倍超えてます!
・建築・土木・測量技術者、躯体工事 4倍超えてますよ!
・保健師、助産師等 2倍後半です。
・建築、土木の仕事 3倍近いです。
・飲食、接客、販売の仕事 全て2倍超えてます。
・介護、福祉、生活支援系 やはり2倍超えてます。
・機械整備・修理の職業 唯一製造系で2倍超えてます。
というわけで、皆さんがこの職種であるならば「おめでとうございます!仕事は選び放題です!」
ちなみに求人倍率の低いところはどこか?中には0.25倍なんていうのもあった。
一般事務や営業、会計、デザイン関連。
「就職件数」が急減している状況について。
求人数は増えているにもかかわらず就職件数が少ない理由。
それは「求職者が減少しているから」
上記に挙げた求人倍率の高い職種は特殊な職種か、不人気職種。
したがってなり手が少ないのが現実。
特殊な資格を持っているか、不人気職種で働くか、それともパート、アルバイトで働くことを決めたか。
そのいずれかの条件に入っている方のみが有効求人倍率が上がっていることをお喜びください。
冒頭の媒体営業さん、実はこんな感じです。
職種によるが、人材紹介の成果報酬で人材探しなら良いけど媒体に掲載して反応を待つ採用は厳しそうだ。
これからは簡単に「有効求人倍率が・・・」と言わないほうがよさそうと思うが。