営業マンの頃、上司によく言われたのが「仕事をするにはPDCAが大切なんだ!」
PDCAサイクルとは、事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する(wikiより引用)
当時はP無しでDばかりやって失敗ばかりしていたので、言われて当然ではあるんだけど。
世間的にもメジャーなPDCA、最近はこれを守っているようでは「生き残れない」と思う。
特にP(計画)を慎重に完全にやればやるほど「時間の無駄」と思う。
そしてCAは別々ではなく一緒にやる、それもDしながらね。
というか評価・改善ってその行為自体がいらなくなっているのではないかとも思うけど。
その好例が先日BS11の収録で伺った企業にあったのでご紹介。
愛知県で不動産業を営むF社。
地方テレビやネットテレビなどでも企業が紹介されている。
不動産業は売買の仲介や賃借の仲介、管理が事業の中心である。
しかし、この会社もちろん売買仲介や賃借仲介・管理も行うが場合によっては大家が持っている不物件を売却してそれを他の資産(株式や債券、現金)に変えることを勧めたり、自らのノウハウである「失敗しない賃貸物件運用方法」を開示したりする。
さらに個人大家が所有する「不採算物件」を自社で買取り「特殊な加工」を施して「収益物件」に変えてしまう。
これについては他の番組でも社長がわかりやすい事業紹介をしているのでご覧頂ければ良いのだろうが、自分が注目したのは「なぜその領域に踏み込んだのか?」ということ。
もちろん現在では「空室問題」が社会問題になり「社会貢献」であり「時代のニーズ」と言える。
それらを解決する「社会問題に直結した事業形態」と言えるが、最初からそんなことを考えるわけがない。
「このビジネスを始めたきっかけは?」を社長に執拗に攻め込んだ。
するとこう言うのである。
「そりゃあ最初は普通に物件の仲介やってたけど、他でも同じことやってるので自社の特徴がない、そこで他と何か違うことをやらないとまずいなと思い始めた」
時はバブルが崩壊して不動産市況が思わしく改善しない時期2000年初頭。
社長には他社と同じことをしていては先細りになることが「感覚」で分かったはず。
「この地域には大家さんが『うちの物件赤字だからやめたい』と嘆く声が多いことに気がついたんだ」
賃貸物件を建築するのは「相続税対策」と「不労所得による所得の安定」という狙いがある。
相続の対策はある年数を超えると効果がなくなる。
所得については空室が増えると大家が補填しなければならない。
すると数ヶ月でも空室が複数あると「厳しい」状況になるのだ。
バブルの頃に昔の不動産屋さんに勧められて建てた「収益物件」が20年近く経って「赤字物件」に変わってきたのだ。
特に大きな駅の周辺ではない地域であるため人口が増えない、大家さんには「赤字解消」のイメージがわかない。
通常、仲介系不動産業にとって「赤字物件」には関わり合いを持ちたくない。
下手すれば自社の収益を圧迫する。
「他社が敬遠するような物件にこそ、新たなビジネスがある!」社長の「感」が働いた!
事業計画云々ではない、嗅覚で感じるのが経営者だ。
「赤字物件の再生」と「大家さんの資産再形成」を提案するビジネス、さらに自らの再建ノウハウを開示してビジネスにするという新手の手法も考えた。
その結果、不動産業の枠を超えた「資産活用提案企業」が誕生した。
詳細は「2月6日23時放送BS11中小企業ビジネスジャーナル」を見ていただきたい。
さて、この社長はPDCAを重視して仕事をしているだろうか?
新たな事業領域に進む時に「計画」や「評価」や「改善」などの時間を取っていたら他社が始めてしまうかもしれない。
それまで自社の体力が持たないかもしれない。
F社の社長は「自分の感性」を信じたのだ。
「来るべき危機を回避する方法、事業を伸ばす方向性とは何か?」
365日24時間、自社事業のことを考えている経営者の「感」というのは半端じゃない。
自らの「感」が先にあり、そこに社会のニーズが乗って「理屈」になる。
「理」は他者を動かす。理が立って成功すると「正義」になる。
「正」は社会を動かす、そして市場になる。
市場になれば「絶対的に必要な存在」となるわけだ。
「Don’t think feel!」はブルース・リーが映画「死亡遊戯」で言ったセリフ。
「フォースと共にあれ!」は映画「Star Wars」でシリーズを超えてジェダイが使う合言葉。
日本には「感」という素晴らしい言葉がある。
自分は昔から「計画」よりも「感」の方が好きだった。
少なくても経営者には「感」の力が大事って話。