さて、レーシック手術当日。
朝7時30分起床。
いつものように、机の上の眼鏡に手を伸ばす。このいつもの何気ない習慣が今日で最後か、と思うと感慨深い。
クリニックからは、手術当日に持参するものは特に指定されておらず、ほぼ手ぶらで病院へ。
練馬の駅から都営線で青山一丁目、乗り換えて外苑前へ。
11時40分に来るように言われていたが、11時30には到着、受付へ。
受付で、一通りの説明を受けて、帰りにかける保護用の眼鏡を選ぶ。
受付のお姉さんに、「安定剤は必要ですか?」とやさしく聞かれ、「はい、お願いします」と答え、安定剤を一錠飲む。
待ち合い室では、「モンスターズインク」のDVDが再生されている。もう何度も見た映画だが、思わず見入ってしまう。
手術は12時40分と聞いていたので、まだ呼ばれないだろうと思い、映画を見ていると、急に名前を呼ばれる。
見ると、いわゆる手術の格好をした看護師さんが、「こちらにどうぞ」と手招きしている。
おいおい、もう順番かい!急だなぁ。
連れて行かれたところは、カーテンで仕切られた個室。
ここで、目の麻酔をかけられ、10分程おとなしくしているように言われる。
看護師さんに「ご心配な点はありませんか?」と優しく聞かれたので、「とっても緊張しているのですが・・・」と言うと、「大丈夫ですよ、すぐに終わりますから」と諭されるように優しく言われる。
この時点で、眼鏡をはずし、看護師さんに預ける。
もうすぐ手術である。もう、ここまでくればまな板のコイ、じたばたしても仕方がないのでおとなしく待ってる事にする。
10分後、「それでは手術室に移動します」と言われ、手術室に導かれる。
自動ドアが開いた瞬間、いわゆる「手術室」がそこに展開されていた。テレビや雑誌や本なんかで見た事があるやつ。
(おお、これか・・・、怖いぞ・・・)
看護師さんの指示に従って、手術台に乗り、仰向けに寝る。
ものすごくクーラーがかかっており、寒い。毛布をかけてくれるので寒さは防げる。
台の上で位置を直され、実際にレーザーを当てる機械の下にベッドが動き、光の見える位置を確認される。
もう一度、ベッドの位置が元に戻り、このまましばらく待つように言われる。
隣から、機械音がする、看護師さんが「あれがレーザーの音ですよ」と教えてくれる。
(おいおい、レーザーって音がすんのかい!)
「あのー、私意外にまつげが長いんですけど、大丈夫でしょうか?」などと訳の分からない質問をぶつけてみるが「大丈夫ですよ、心配いりません」と冷静に返答される。
しばらくすると、自動ドアが開き、ドラマで見た事のある手術の格好をした先生や助手さんや看護師さんが、ぞろぞろと入場してくる。
(ぞぁ!いよいよだ、怖いよー)
そんな感情は全く無視するかのように、一気に作業は加速する。
まず、まつげを固定するシールのようなものを目の周りに張られる。
この時点で瞬きはできなくなる。
さらに、確実に瞬きができないようにするために、まぶたを固定する器具が取り付けられ、ねじで固定される。
両目、完全に見開きの状態。瞬きはまったくできない。
レーザーを当てる機械の下に、ベッドが移動。先生が待っている。
「こんにちわ、鈴木さん、よろしくお願いしますね」やさしい声で話しかけてくれる。
「よろしくお願いします」両目を完全に見開きながら、挨拶をする。
まず、右目。
「それでは、目の上を機械が通りますので、目の前の赤い光を見ていてくださいね」と言われる。
ここで、何かトラブルがあったら大変、目の前で点滅している赤い光を鬼のように見つめる。
顔の右側から機械音がして、目の前に何かがやってくるのがわかる。
目玉に圧迫感、次の瞬間に、目が剥かれる感じ、目の前の赤い光が急にぼやける。
次に、先生が刷毛のようなもので、目をいじり、助手の方が秒数をカウントし始める。
「上手ですよ、そのまま見ていてくださいね」
この先生の言葉によって私は勇気と安心を手に入れる事ができた。
なんか、こげた匂いがする、おそらく、自分の目が焼かれている匂いであろう。
カウントが終わり、先生がまた刷毛で目玉をなでる。
すると、急に目の前が見える、視点が合うのである。
(おお、これか、視力が戻るというのは、でもやっぱり怖いなー、逃げたいなぁ)
次に左目、同じような作業が展開される。
左目は乱視もあったせいか、右目よりも若干作業時間が長かったような気がする。
両目の施術が終わり、ベッドが移動され、まぶたに着いていた器具が取り外され、まつげを固定していたシールもはがされる。
(終わった・・・)
手術台から降ろされて、すぐに先生のチェック。
「問題ないですね、成功ですよ」
うーん、とてもいい気持ち。
看護師さんに導かれ、休憩室のようなリクライニングの椅子がある部屋に通される。
「こちらで目を閉じて10分間安静にしていてください。10分経ったらこの保護眼鏡をして受付にきてください」と言われ、椅子に座る。
まだ、薬でボヤっとしているが、確実に見える。裸眼で見えるのである。眼鏡なしでコンタクトもなしで見る事ができるのが、こんなにも嬉しいことであろうか。
10分程休んでから受付へ、点眼薬の説明を受けて、今までしていた眼鏡を返却される。
受付の時計を見ると、12時40分。来院してからほぼ1時間。手術自体は15分程度だったのではないかな。
保護用の眼鏡は、あまりにもカッコがよろしくないので、今までかけていた眼鏡をレンズを度なしに変えようと思い、池袋の眼鏡屋に行く事に。
外苑前から地下鉄を乗り継いで行くのが普通だが、天気も良く、歩いている人も多くないので、永田町まで歩く事にする。
途中、銀杏並木のあたりで保護用眼鏡を外し、裸眼で周囲を見渡す。なんとも快感ではないか!
これからは、裸眼で見る事が普通になる。やってよかった!本当に!
現在、手術後4日が経過し、問題もなく過ごしている。
3時間ごとに目薬を差したり、寝るときにプラスチックの眼帯をしたりと、術後のケアが大変ではあるが、やはりやってよかったと思う。
もしも、レーシックの手術を迷っている方がいれば、早くやった方が良いですよ、とアドバイスします。
確かに、痛くも痒くもない手術ですから。
更に、手術台に乗る恐怖も確実に体験できますよ。お楽しみに!