世の巨大マスコミに対して言いたいのである。
以前より、景気動向についての巨大マスコミの取り上げ方が偏り過ぎている件はここでも書いてきたが、本当に目に余る。
振返れば、多少“大手企業”の景気見通しが改善したからといって、TVでも新聞でも「景気回復の兆し」などと報道したり。
有効求人倍率が0.01改善しただけで、「求人市場が好転した」などとほざいている。
全く見識がなさ過ぎる。彼らは本当に勉強しているのだろうか?
世の中で起きている事を正しく報道するという意識を持っているとは思えない。
最近気になるのだが、TVや新聞でよく使われる「民意」とは何か?
誰がこの「民意」を調べたのか?
同じ資本の入った新聞、雑誌、TVによって恣意的な報道を行い、それによって視聴者や読者の関心を“ある方向”へと誘導する。
その後「このことについてどう思うか?」と視聴者、読者に問う。当然“ある方向”に偏った結果が出る。
その結果をもって「民意」という、操作された「世論」である。
その「世論」を持って政治、経済、法律に介入する。
それが、今の巨大マスコミである。
自分達が世の中を作っているがごとくの錯覚を起こしているのではないだろうか?
日本人は正直でまじめで素直な国民であると自分は思っている。
そのことを上手く利用して、「世論」を造り出しているのがマスコミだとしたら恐ろしいことだとは思わないだろうか?
私は、民主党寄りでも自民党寄りでもない。ましてや、小沢派でも菅派でもない。日本にとって良い政治をしてくれればそれで良い。
が、しかし、今回の民主党党首選挙はひどい。
山口教授が二人の討論会の司会をお引き受けになられたので、「ニコ生」で実況を拝見したが、どちらかと言えば小沢氏の方がしっかりとした意見を述べていたし、自分の言葉で語っていた。
おそらく、その場にいた議員や関係者、放送を見ていた視聴者は「小沢氏の方が優勢だろ」と思ったはずである。
しかし、翌日の新聞、TVでの扱いは「菅氏優勢」である。
本当に同じ討論を見ていたのであろうか?
さらに、実際の選挙でサポーター&党員票が大差で管氏、議員票が拮抗だったことをマスコミは議員が「民意」を受け止めていない、と報道する。
この「民意」は自分達が作り上げた「世論」であろう。それに国会議員が完全に乗り切らなかった事が気に入らなかったのか?
多少なりとも国会議員には本質を見る目があったのだと信じたい。
また、今回の為替介入の問題もしかり。
いつ介入するんだ!何らかの手を打たなければならないだろう!政府は無策か!
こんな論調のマスコミ各社が、介入した翌日からは、時期が遅かった!海外からは反発がある!単独介入は意味があるのか?という論調に変わる。
じゃぁどうすれば良いんだよ!と大臣も日銀も言いたくなるだろうよ。
要するに、彼らは自分達の媒体の売上が上がれば良いのである。
新聞が売れて、雑誌が売れて、TVの視聴率が稼げてスポンサーからの広告料が入れば良いのである。
媒体の売上を上げるためには、とりあえず批判、非難すれば良いのである。
自分達が「良心の伝達者」であり、そのことを誰かを犠牲にする免罪符にしている。
言い過ぎかい?
いや、我々は実際にその制裁を受けた身である。
1988年4月にリクルートに入社した我々は、新入社員で「リクルート事件」に遭遇する。
あの時のマスコミ各社の態度はどうであったろうか?
全く無関係の一般社員を待ち伏せして「どう思いますか?」「何か知ってんじゃないの?」と土足で踏み込んできた。
それだけではない、事件とは関係ない「社風」や「社員のプライベート」にまで取材の手は及んだ。
それによって、それまでのR社の闊達さや自由さが失われていった。
もちろん、商売にも大きな影響を与え、新入社員の私は大手の担当者から罵倒されたり、さらし者にされたりもした。
マスコミ各社は「リクルートは悪の組織」という論調だったのである。
まさに作られた「世論」である。
その時の新聞も雑誌も良く売れたようである。TVも視聴率を稼いだようだね。
もちろん、当時の経営陣が何をやっていたのかは知る由もないので、事実関係はわからない。
しかし、末端の社員には全く関係のないことであるし、実際の商売や社風などは関係ないはずである。
それでも、彼らは面白おかしく報道した。
自分自身、その時の社会に対する憤りは半端ではなかった。そしてマスコミに対する不信感、それは忘れられない。
最近のマスコミの報道を見ていると、その体質が本当に変わらない、いや、むしろ悪化しているように思えてならない。
もっと本質の話をしたらどうであろうか?
景気悪化の原因と解決策について、本当に踏み込んだ議論をして見てはいかがであろうか?
政策についての議論をきちんと伝えることで視聴者を引きつける番組作りはできないのであろうか?
物事の本質をきちんと伝えて、視聴者や読者に見識を持たせるような報道はできないのであろうか?
もう一度、マスコミの本質を考えて欲しい。少なくてもTVは放送免許を持って行っている公共のものである。
お笑いとアイドルで視聴率を稼いでいるようなTV各社に、本当の報道ができるとは思わないけどね。
同感です。たまには現役政治家の(私生活ではなく政策を)褒めるマスコミがあってもいいと思います。みのもんたに反論するコメンテーターがいてもいいと思います。でも近頃はマスコミの論調とツイッターでの意見が結構正反対だったりするのをみると、まだ世の中捨てたもんじゃないかもしれません。
投稿情報: 伊藤秀一 | 2010/09/22 18:40