一見、似ている「判断」と「決断」
辞書によると、「判断」は真偽、善悪を見極め、自分の考えを定める。「決断」は自らの意志をはっきりと決定する。
似ているけど、意味は全然ちがう。
会社組織において、「判断業務」はMgrができるが、「決断業務」は経営者にしかできない。
経営者の決断は、生きるか死ぬか、発展か衰退かを常に問われている。
だから、重い。
判断にはリスクはない、決断にはリスクがある。
だからプレッシャーもある。
判断は納得するか否か、決断は信じるか否か。
信頼は裏切れない。
経営者のやりがいは、金儲けよりも自ら「決断」することにあると思う。
先日、定例の経営者勉強会に参加したとき。
現在の商況と今年の景気予測のもと、自身の会社の目標や戦略について語る機会があった。
その際に、自分の先輩であるSさん(度々ご登場いただいているが)の話にハッとした。
Sさんは、数枚のグラフのコーピーを全員に渡し、ここ10数年の「工作機械受注額の推移」を提示した。
そのグラフは、80年代の好景気から始まり、リーマンショック後の急降下、そして最近の復調の様子を表していた。
最近の復調の要因としては、アジアでの受注額の増加が突出しており、特に中国がアジア全体の7割以上を占めている。
この状況をみれば、工作機械メーカーに部品を供給しているSさんの工場も移転せざるを得ない。「Sさんもついに中国進出か」と思った。
しかし、Sさんの次の言葉は違った。
「こんな状況だからこそ、日本の工場に拘って製造を続けていく」という内容。
Sさんとしては、中国に工場を作り大量生産小利益の仕事をするよりも、日本での少量生産適正利益の仕事を続ける事を決断したのである。
日本の工場にしかできない、こだわりの製品、顧客対応、企画力。
それらを武器に世界中とビジネスをしようというのがSさんの会社の戦略らしい。
さらに、Sさんが決断した米工場の閉鎖。
自ら立ち上げた米の工場を自らの手で閉鎖した。分散のリスクを減らして技術を一極集中するために。
この事は、全社員に経営者としての覚悟を見せることになったであろう。
Sさんは見事に経営者としての「決断」をされたのである。必ず成功するものと信じています。
自分も今までいろいろな場面で「決断」をしてきたと思う。
そして決断した後に大切なことがある。
それは「あきらめないこと」
一度決断したからには、簡単にあきらめない。
決断したら、成功するイメージのみを持ち、失敗のイメージを持たない。
だから継続できるし、成功まで頑張れる。
でも、状況が変化し、どうも上手くいかないと判断したときには、撤退の決断をすることもある。
こんなことをよく何年もやっていられるもんだと思うが、結構好きなんだな、このプレッシャーが。
また、近々大きな「決断」をしなければいけないような気がする。
今年は社会も会社も大きく変わりそうな予感がする。良い方向に進むと信じている。
コメント