伝えたい事が相手にうまく伝わらない、正しく理解されなくて困った。そんな思いをすることがある。
つくづく人間同士のコミュニケーションの難しさを痛感する。
一方で、話すだけで人を引き込み、納得を得られてしまう人もいる。
その差はなんであろうか?
それは、伝える側と伝えられる側に信頼の土壌が築けているか否かだと思う。
経営者勉強会などで、他の経営者の話を聞く機会がある。
そんなとき、企業名は知らなくても、沿革を知り事業内容や規模を知れば、経営者としての現況を計り知る事ができる。
すると、何とはなしに親しみや共感が生まれ、耳を傾け理解しようと勤める。
同じ境遇からくる共感の気持ちが、軽い信頼関係を生む。
信頼の土壌ができると聞く耳を持つ事になるから内容を理解しようと勤める。
そこで話が面白いと、さらにグッと引き寄せられる。
自分にとって刺さる言葉が少しでもあれば、「この人の話はためになる!」となるわけだ。
そんな話し方をする経営者は、学生を前に話をしても多くのファンをゲットできる。
「あの社長の元で働きたい」なんて思いを学生に抱かせる経営者は、共感の気持ちを生み出すことがうまい。
一方、社内での信頼関係はどうだろう?
上司と部下、先輩後輩、同僚との間には常に信頼関係があると言えるのだろうか?
入社時には、思いを同じにし価値観も共有した仲である。
同じ職場で一緒に長い時間を過ごしている関係でもある。
そんな関係だから、同じ方向を見て同じ意欲を持って仕事に取組んでいると勝手に思いこんでいるかもしれない。
だから、多少の甘えが生じて、妙にテンションが高かったり、威圧的だったり、逆に自虐的(?)だったり、相手にきちんと伝わらないコミニュケーションの仕方になってしまう事もある。
良かれと思って言った事でも相手からは「なぜ、今?」なんて思われて、悲しい思いをした人もいるかもしれない。
毎日長い時間を一緒にいるからと言って信頼関係が出来上がっているとは限らない。
信頼関係を築くには、やはりそれなりのルールがある。
1 自分がどこを向いて、どんな価値観で生きているのかをちゃんと伝える。
自分が何者なのか、何を考えているのかを伝えなきゃ信頼は生まれない。場合によっては踏み込んだ話も必要かも。
自分の事を相手が共感する、もしくは理解してくれることが大事、まぁ一緒に進む基本とでも言うかな。
2 「私はあなたの事をきちんと考えている」事を伝える。
立場や役割や心情も含めて尊重し、相手の役に立ちたいと考えてることを伝える。ただの独りよがりでは誰も理解できない。
3 実績(成果)を見せる。
口でどんだけ立派なことを言ってみても、実績を見せなきゃ口だけ野郎になっちゃう、それじゃ信頼されない。たまには力を見せる事も必要だ。
で、それらを伝えてもすぐに信頼関係ができるとは限らない。
一回や二回トライして「難しそう、ダメだ!」では信頼関係はできない。
人にはそれぞれ個性がある、相手の言葉を信じやすい人も疑い深い人も、いろいろだ。
だから辛抱強く繰り返す。あきらめない強さも必要だ。
そうして築いた信頼関係があれば、多少言い方や伝え方が間違ったって気持ちは伝わるものだ。
上司と部下や先輩と後輩であればなおさらだ。信頼関係がなくては仕事は前に進まない。気持ちが伝わらないからと、あきらめてはいけない、辛抱強く続ける必要がある。
信頼関係を作るのも努力と忍耐が必要なのだ、それは世の常なので嘆く必要もない。
とはいえ、一国のトップですら国民の信頼を得られていない現代だ、他人からの信頼を得る事の難しさを感じることも無理はない。
しかし、上記のような真摯な生き方を示す事で、信頼は得られると思うのだがいかがだろうか?
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