先週のお楽しみは、クインシー・ジョーンズの32年振りの来日公演。
カリスマ音楽プロデューサー、クインシー・ジョーンズ。
マイルスデイビスやマイケルジャクソンのプロデュースはあまりにも有名。
映画音楽のプロデューサーとしても活躍、特に「ルーツ」は有名。
自分も高校生の頃に彼の音楽に出会い、テープがすり切れるまで聞きまくった。
就職して最初の給料で買ったのはレーザーディスクプレイヤーとクインシーのライブLDだった。
そこまで好きな人が32年振りに来日してライブやるんだから行くに決まってるでしょ!
当日、以前一緒にバンドをやっていた先輩Tさんと、高校大学の同級生I君と有楽町で待ち合わせ。
会場に向う途中にI君「今日のライブは高校の先輩とか、いそうだよな」とつぶやく。
I君と自分は同じ高校の音楽部。
我々の先輩達もクインシーが好きなのは知っている。
「ああ、特にK先輩は来てる可能性あるよね」
会場に入り、席を確認する。
ステージ前から数えて10列目、ほぼセンターの位置。
「すごい席だなぁ」3人大喜び。
クリスペプラーのMCで開演。
前半1時間半は日本人によるクインシートリビュート。
30分の休憩を挟んでクインシーバンド。
休憩中、自席の前で伸びをしていると、突然声をかけらる。
「鈴木君!」
見れば、経営者勉強会の先輩Uさん。
「あ、どうもUさん。やはり来られてましたか!」
Uさんもクインシーは好きだったよなぁ、当然来ますよね。
「あ、鈴木君、K君も一緒に来ているんだよ」
なんと、来るときにI君と話をしていたK先輩も来られているということ。
「連れていってください、お願いします!」
Uさんに連れられてついにK先輩と再会。
「Kさんご無沙汰しております。鈴木です」
「ん?誰だ?」
「あ、すいません、みのるです」
「ああ、みのるかよ!随分変わってるからわからなかったよ、久しぶり!」
不思議なものだ、20年以上振りでも先輩後輩は健在だ。
心は高校生の頃に戻る。
「ちょっと待ってください、同期のIがいますので、呼んできます」
I君も会いたいはずだと思い、呼びに行く。
「お久しぶりです、Iです」
「おお、覚えてるよ。なんとなく」
しばらく三人で現況の話をして、次の再会を約束して自席に戻る。
その後2時間のクインシーバンドにシビレて、長いライブは終了した。
クインシーも最高だったが、インパクトはK先輩に会った事の方が大きい。
Kさんは高校の音楽部の2学年上の先輩。
ギターがとてつもなく上手で、キャプテン。
練習はとても厳しくて、学年関係なく叱り飛ばしていた。
「チューニングしている時に音出してる奴誰だ!」
とマナー系も厳しかったが、Kさんのバンドのお手伝いをしている時に聞いた、ドラムの人に言ってる一言が忘れられない。
「この曲は横ノリだろ、お前のタイコは縦なんだよ!しっかりしろよ!」
正直、当時の自分には言葉が理解できなかった。あんな事言われたらビビるなぁ。
Kさんは高校3年生の頃からスタジオミュージシャンのアルバイトをしていた。
音楽に対するこだわりが強かったし、態度も怖かった、でも尊敬していた。
自分は中学までは地元の公立中。音楽もやった事がなかった。
付属高校に入学する生徒の半分は受験がない。部活も3年間目一杯やってる。
音楽部に入る奴のほとんどは中学から楽器をやってる。
外部生(受験して入ってきた生徒ね!)でも中学時代に楽器をやってた奴が音楽部に入る。
自分のように、全くの初心者がそれもドラムをやりたいなどと入部するケースは当時はほとんどなかった。
だから部活の練習に付いて行くのは大変なこと。
K先輩の練習は厳しいし怖い。
なんとかうまくならなければ、と毎日練習する。
家に練習台を購入し、学校から帰るとずっと叩きっ放し。
そうすると、少しずつ上達して行くのがわかる。
全体練習でも、最初はバカにしていた同級生が認めてくれるようになる。
それが嬉しくてさらに練習を重ねる。
しまいには、本物のドラムセットを購入し自宅の倉庫にセッティング。
学校から帰ると倉庫で汗だくで練習した。
秋の学園祭で初ライブ。
3年生の頃には野外ステージでライブ、この頃は3バンド掛け持ちで演奏した。
勉強をした覚えは全くなかったが、音楽に打ち込んだ3年間だった。
それでも、努力をすれば必ず結果が出る事を学べたのは大きい。
そう取り組む事ができたのは厳しいK先輩の存在だったのかな。
厳しさばかりじゃなく、いろいろな刺激を与えてくれた。
先輩たちに一番影響を受けたのは、未知のジャンルの音。
高校に入ってからR&Bを知り、ファンクを知り、JAZZを知る。
先輩達がステージで演奏している音楽を聞いて「何これ!カッコイイ」から始まる。
クインシーもそんな感じで知ることができた。
32年振りに来日したクインシーは素晴らしい演奏と共に懐かしい思いも連れてきてくれた。
純粋に吸収する心と純粋に努力する思い。
あの頃の思いは、今でも忘れたくない。