暦の上では9月。
今日も35度以上を記録する東京では、移ろう季節の実感は薄いけど8月は終わってしまった。
9月と言えば新学期。
最近では8月の最終週から新学期の始まる学校もあるらしいが、我々の頃はやはり9月1日。
夏休みの宿題を抱えて久しぶりの登校。
たかが1ヶ月なのに、久しぶりに会う級友が照れくさい。
夏休みの宿題のお悩みポイントはなんと言っても「自由研究」だろう。
今でも印象に残っている研究がある。
一つは小学4年生にやった「足立区地名の由来」である。
地元足立区の地名の由来を区役所や図書館に行って調べたり、地元の古くから住む人にヒアリングを行い、模造紙にまとめて提出した。
今でもいくつかは覚えているのだから、それなりに一生懸命やっていたのだろう。
地名の由来を探るのは今でも好きだね。
もう一つ、「天気図作り」
「ラジオ短波の天気情報を聞いて白天気図に書き込む」という作業を夏休み中毎日やった。
ちなみにラジオ短波の気象情報というのは、「東京地方、晴れ、南の風風力3、仙台地方、曇り時々晴れ、南南西の風風力2・・・」と各地の天気と風向き、風の強さだけを20分近く読み上げて行く番組である。
キャンプなど短期で家を空けるときは、ラジカセに録音し、いわきに長期滞在するときは短波ラジオを持ち込んで聞いた。
天気図に情報を書き込むというのは、ラジオから流れる情報を鉛筆で地図に旗のような記号で書き込む作業のことを言う。
何を目的にしていたのかは定かではないが、黙々とそれをやり続けた小学5年生の夏休み。
地名を調べたり、天気図作ったりと変な事をする小学生だった。
自慢ではないが、算数や国語はそれなりに出来ていたのでそっち系の宿題で悩んだ事はない。
「自由研究」こそが自分の熱中する宿題だった。
9月1日に宿題提出する際に先生や級友に驚かれるのが、たまらなく快感であったのだろう。
傍から見ればよくわからん事ではあるが、やってる本人は一生懸命で、自分なりにこだわりもあるから、やり遂げたときの充実感はしっかりと感じる。
「区役所まで行って調べた奴は俺以外いないはずだ!」とか「毎日欠かさず地図を書き続けるなんて他の奴にはできない!」などという自己満足な達成感を味わっていた。
満足感や達成感、充実感なんてものは所詮“主観”なものだからそれで良いのだろう。
誰かに与えられるものではないからな。
与えられた課題であればそこまでの達成感や満足感は得られなかったかもしれない。
自己満足はよかったのだが、周囲からはさほどではなかったようで。
小学5年生の8月31日。
明日は新学期で宿題提出だとドキドキしながら用意をしている時に母親が一言。
「あら、それ明日出すの?ただ天気をメモしただけじゃない!その情報を元に明日の天気を予報するくらいの事をやらなかったら宿題にならないんじゃないの?」
・・・おっしゃる通りだが、今それを言うか!