先週末、2日に渡って全社研修が行なわれた。
年頭に伝えた方針を各チームがどのように理解し、今期取組む戦略を話合う。
いつもは各チームを廻って様子を伺うのであるが、今回は営業チーム以外は各々の自主性に任せた。
今回営業チームに張り付いたのには理由がある。
それは、市場環境が変化している今、クライアントに一番近いチームにこそ問題解決の糸口があると考えるからだ。
すでにはっきりしている事は、今までの延長線上の戦略では問題は解決できず、大きく方向転換をしなければならないという事だ。
方向転換するということは、今までの行動や意識を変えると言う事。
そういう時には強引にトップダウンで「こうやれ!」とする手もあるのだろうが、それではチーム力にはならない。
なぜ今変えなければいけないのか?
なぜ自分たちがやらなければならないのか?
どう変えれば良いのか?
それらの目線をチームで共有し、やるべき戦略の共感があってこそ大いなる力が生まれるはずである。
日常業務から離れて話合う研修の場は意識変革のきっかけを行なうのにふさわしい。
自分がメンバーと共に話合った事。
まず、年頭に示した「学びのリーディングカンパニーになる」というテーマ、どのようにすれば実現することができるのか?を問いかける事だった。
残念ながら、この問いについて活発な意見交換があったとは言えない。
無理もない、今までの研修では営業戦術の具体策ばかりが話合われていて概念的な事を考える習慣ができていない。
そこで、こちらから3つのテーマを提示した。
「学び経営者の支援」「学び市場の拡大」「媒体を活用した潜在層の底上げ」
このテーマに異論が出なかったので、各テーマについて具体的な施策を出来るだけたくさん出して欲しいとリクエストし、各人が思いつく限りのアイデアを出した。
同じような意見は集約し、それぞれを整理分類し“大いなる施策のテーマ”を決める。
各施策テーマごとに担当チームを作り、施策を戦術に落とし込む作業に入る。
これで一日目が終了。
始めは戸惑い気味であったメンバーも少しづつ自分たちのポジションを理解し始め1日目の終了時には理解が深まってきたする。
2日目、あさ9時から再スタート。
開始早々に質問。
「さて、昨日決めた各施策テーマですが、本当にリーディングカンパニーになる絶対条件でしょうか?」
前日時間をかけて決めた事を、一晩を経てもう一度見直す事を求める。
本当にその施策が自分たちにとって最優先であり最重要であるのか?
明日からの営業でお客さんに提案するつもりでもう一度考えてみて欲しいと。
ここで決められたことは数週間の後に当社の商品・サービスとしてクライアントに提供されるものである。
一時の感情や思いつきや、上位者の意見に同調するだけで決めた戦略であれば現場で通用しない。
プロとして現場で働いている目を持って施策を見直して欲しいというリクエストである。
内容の精査を更に行ない、午前中の研修は終了した。
研修だけで商品開発は終了しない、これから更に手を加えて本物にしていくが「やるべき事の目線合わせ」には成功したようだ。
2日目の午後には全社が再集合して、各チームがどのような研修を行なったのかを発表する。
案の定だが、営業チームの発表に対してはいろいろと質問が飛んできた。
今まではいつまでに誰がどのくらい売上げるのかの行動目標を提示してきたのに、その手の話が一切なかった事が周囲に不安を与えたのであろう。
今回一番時間をかけたのは「自らがやるべきこと」の目線合わせだった。
もちろん、目標数字の話も日々の行動目標の話もしていない。
それで良いのだ。
当社に入社してそれなりの年月を過ごしているメンバーにとって研修で行動計画を立てる必要などない、日常業務の延長で十分に可能だ。
期初、半期研修の目的とは“経営目標に対する各チームの戦略会議”である。
日常とは違う視点で己を見返し、社会環境を見て、経営の考えを咀嚼したうえで戦略を見直すことである。
一日経って研修を振返ると、それなりに良い研修ができたのだと思う。