いろいろな経緯があって、自宅のテレビを買い替えることになった。
それまではSH社の32インチで、まぁとりあえず見られれば良いかな程度のテレビだったのだが。
せっかく入れ替えるのであれば、この際大きな画面にしようと思い。
「最新の4Kか!」とも思ったが、いかんせん高い!
「とりあえず50インチクラスかな?」と思い”ネット“で価格チェック!
Amazonさんで各メーカーの価格を見て購入したい商品を決め、価格コムで最安値チェック!
3月の駆け込み需要が一服し、メーカーも新型を投入する時期なので旧型が安くなってる!という情報を収集した。
言っても数千円の違いなのだが、それでもどうせなら安く買いたい。
ギリギリまで待って、これ以上下がる事はないだろうというタイミングで電気店へ。
どこの電気店にするのかは迷ったが、とりあえず池袋のヤ○ダ電機へいく事にした。
理由は特にないが「日本総本店」というフレーズが気になったし、品揃えも良さそうな気がしたからだ。
池袋東口の地下商店街直結はアクセスが良い。
2階のテレビ売場へ。
エスカレーターで到着すると、まぁ良くもここまで集めたものだという位にテレビだらけだ。
お目当ての50インチクラスが小さく見えるほど大画面テレビが並ぶ。
購入を狙っていた機種はどうやら展示品のみの販売らしい。
本当かウソかはわからないが、新商品の発表間近なので無理もないかと理解をしてしまう。
「展示品はいやだなぁ」と思い、さてどうしたものかと途方に暮れた。
とりあえず、店員さんを呼ぶ事にした。
ちょっと小太りのな男性、○村さんという。
「お困りですか?」
「そう、困っているんですよ。狙ってた機種が展示品のみなので躊躇しています」
「なるほど、どちらの商品ですか?」
「P社のVで55インチのやつ」
「ああ、それはもう入荷しないですね。確かに展示品だけですね」
「それじゃ、なんかおすすめあります?」
「そうですね、それはお客様の好みによって変わります」
「好み?」
「はい、色の出方です。P社やS社のテレビは色をいじっているんです。SH社は色を奇麗に見せるように加工してます。T社は自然な色なんです」
「え、メーカーによって色の出し方に違いがあるの?」
「はい、明確に違います。こちらに来ていただければわかり易いです」
様々なメーカーの同じようなサイズのテレビが比較できる展示スペースに連れていかれる。
「いかがですか?こんなにも違います」
「へぇー、確かに言われてみれば随分と違うものだなぁ」
並べてみせられるとメーカーそれぞれに発色の仕方に違いがあることがわかる。
「お客様はP社を検討されていたので近いところで言えばS社でしょうね、P社は新型が5月連休明けになりますし、お値段も厳しいと思います」
「なるほど、でもこうして見るとSH社のものが自然で良い感じですね、サイズはちょっと小さくて52インチですけど、十分かな」
「SH社さんですね、評判は良いですね。発色もきれいですしね」
いろいろと説明を聞いているうちに自分がテレビ選びを真剣に考えていなかったかな、という思いになってきた。
値段やブランドで決めてはいけないんだなぁ、やはりメーカーそれぞれの特性も理解しなければいけなかった!
発色の具合を調整しているのはテレビとしてどうなんだろうと言う妙な正義感?のようなものもあり、気持ちはSH社に一気に偏った。
まぁ以前のテレビがSH社だったことも影響しているが。
ということで、SH社の52インチに決めた。すると○村さんはいきなり携帯端末を取り出した。
見ると”iPhone“である。
「ありがとうございます。お値段なのですが、この商品ネット価格がちょっと異常なんです」
「?」
最初は何を言っているのかわからなかった。
ネット価格?
グロスとネットのネット?仕入れ価格の業界用語か?と思った。
すると手に持っていたiPhoneの画面を自分に見せた。
そこにはカカクコムの画面があり、購入しようとしている商品の最低価格が表示されている。
なおも○村氏の話は続く。
「他の商品であれば、カカクコムさんで出てる価格まで落としますが、この商品はある業者さんが異常に下げていまして当社ではそこまで下げられません」
はぁ?このお店はカカクコムの最低値段と競っているのか?
「それでですね、当社といたしましては通常よりも高いポイントを付けさせていただこうと・・・」
ここまで自分は一切値段のことは口にしていない。
ただ黙って相づちを打っていただけで店頭表示価格(結構安かった!)よりも更に値引きが入り、これ以上まけられないからと通常よりも高いポイントをゲットしたのである。
恐るべしカカクコム?いやヤ○ダ電機!
最近020ビジネスがいろいろと問題になっている。
以前の020は、オンライン to オフライン。
ネットでクーポンと手に入れて飲食店やサロンで割引を受ける流れであった。
しかし、最近ではこれの逆、つまりオフライン to オンライン。
お店でいろいろと物色してからネットで価格を調べ、ネット通販で購入するという行動が増えて来た。
小売り各社はこの状況に頭を痛めており、対策に苦慮している。
そんな中、この問題を逆手に取ったような営業戦略のヤ○ダ電機。
確かに商品を見ている場でネットの価格と同じ、もしくはそれよりも安くなればその場で申し込んだ方が面倒がなくて便利である。
という背景があるから○村さんも“ネット”発言が出たのであろう。
最近ではお店に来る人もネット価格を調べてからやって来ているのだから、店側もその覚悟は必要なのだろう。
それにしても、まさか店員さんがその場でネットに繋いで価格を比較するようになったいるとは、すごい時代になったものだ。
結局テレビとブルーレイデッキを購入し、結構なポイントをいただいてお得感満載で帰宅した。
ネットからリアルへ、だけではなくリアルからネットへのビジネスも双方にメリットの出る形で進められれば価値ある020ビジネスと言えるだろう。