4月から始まった「鈴木みのるのキャッチナウ!」インターネットラジオ。
6回目のゲストはアラブ人ジャーナリストの“ナジーブ・エルカシュ氏”
日本に10年以上滞在し、東京大学を卒業してアジアの情報をアラブに発信している。
大変忙しい人で日本にいるのは月に数日。
9月上旬、都合がついたので急遽収録。
直前に30分ほど打ち合わせを行い本番突入、基本アドリブである。
流石にジャーナリストである、こちらの質問に対して的確にわかり易く答えてくれている。
今回の番組を聞くとアラブの人達の考ていることが少しはわかるのではないだろうか。
ナジーブ氏との話は大変面白く、結果的には9月、10月と2回登場していただく事になった。
さて本題、まず「パレスティナとイスラエルの対立」
根本は欧米人の都合を勝手にアラブの世界に押し付けた故の問題。
今から100年前の第一次大戦の頃まで遡る。
この戦争によるオスマントルコ帝国の崩壊によりイギリス、フランスに占領されたアラブの人達の土地。
占領時に両国に決められた国境線はそこに住んでいる人達の意思や生活に関係なくひかれた。
この国境線によって親兄弟親戚と無理やり引き裂かれた人達がたくさん発生した。
第二次大戦が終了し占領から解放されても国境はそのまま。
さらにヨーロッパの人々の勝手な思惑でパレスティナの地を“シオニスト”に提供する事を決めた。
シオニストとはシオニズムを唱える人々でイスラエル建国を求めて運動をしてきた人々である。
建国されたイスラエルは、従来そこに住んでいたパレスティナの人々が“邪魔”であった。
しかし、パレスティナの人々にとってもこの土地は大切だった。
聖地エルサレムがある。
エルサレムはユダヤ教にもイスラム教にもキリスト教にも大切な聖地である。
宗教的にも大切なこの地を欧米人のエゴで渡すわけにはいかない。
水や農地も当然のように守る。
という事で戦う。
最近やっと停戦合意したが、それまでの欧米マスコミの伝え方が酷いとナジーブ氏は憤る。
ガザ地区というのはエジプトとパレスティナの境に位置している。
経済封鎖されているパレスティナはエジプトから支援を受けなければ生きて行けない状況である。
その支援物資の流れを止める為にイスラエル軍がガザ地区を封鎖状態にし、最先端の武器を使い目標に”的確に“攻撃した。
パレスティナ側は武器の精度は高くはないがとりあえずはやり返すという目的でミサイルを打ちまくった。
これらの事が正確に伝えられていない。
結果ガザ地区の住民2000人の民間人が亡くなった。
イスラエル側は70人の兵士が亡くなった。
しかし、ここで欧米マスコミは意図的な表現を使う。
「2000人が死亡した」と「70人が殺された」というように。
小さな違いかも知れないが受け取る側の印象はこういう事の積み重ねで変わって行くものだ。
はっきりと言える事は欧米はマスコミも含めて「イスラエル」に好意的で「パレスティナ」に冷たい。
考えてみれば当然かも知れない、なんせ「イスラエル」は欧米側の理屈で創られた国なのだから。
日本も欧米に右へ倣え、だからこの問題を詳しく第三者的に扱うメディアは少ない。
次に「イスラム国」
シリア出身のナジーブ氏としてはこの問題は辛いことのようだ。
彼は「イスラム国」について批判的である。
しかし、彼らの考え方は理解できると言う。
前述のようにアラブの人々はオスマントルコ帝国から独立して民主化をした。
それも欧米が進める形で。
それから100年、辛い状況にも耐えながら豊かな国づくりを目指してきたがどうやらうまくいかない。
「アラブの春」と呼ばれるクーデターを起こしても豊かな国が生まれる気配はなく、むしろ内戦が起こり社会は不安定化している。
欧米が勝手に決めた国境をやめて民族的に宗教的に価値観を共にする人達が国を創ろうという考えは理解できると言う。
しかしやり方がいけない。
勝手に人を殺したり他人の物を奪ったりする事はイスラムの教えにはないと憤慨している。
むしろ、この「イスラム国」の流れというのは違った形の「陰謀」も考えられると言う。
この辺りの視点はジャーナリスト的だ。
とりあえず、9月の話はここまで。
10月の第四月曜日に次の配信がある。
そこではもう少し文化的な話も出て来るし、我々日本人に耳の痛い話も出て来る。
詳細は是非お聞きくだされ。
「それでは皆さん、ごきげんよう!」