台風18号が、明日本州を直撃するらしい。
月曜日は通勤が大変な事になりそうだが、はて。
久しぶりの「円安」が“直撃”している日本の景気は良いんだか悪いんだか、よくわからない状況にある。
本当のところ景気はどうなっているのだろうか?
最初に断っておくが、「アベノミクス」がダメだとか、自民党の政策がダメとかを言いたいわけではない。
安倍政権について言えば、属人的事情もふまえて是非頑張って欲しいという思いが強い。
さて、景気の話だがまずはこのグラフを見てもらいたい。
物価指数のグラフである。
今年4月から物価指数(対前年同月比)が上昇している。
これは消費税が8%に上がった影響が大きいと見て良い。
この事は政府としても織り込み済みで、春からの賃金アップを大手企業に義務づけた。
その実際の(名目)賃金指数推移が次のグラフだ。
確かに5月(春闘後)から急激に上昇している(要に見える)
物価上昇分が賃上げで補えれば何の問題も無いわけだが、次のグラフを見て欲しい。
「実質賃金」(対前年同月比)のグラフである。
この実質賃金というのは賃金指数を物価指数で割り算して算出している。
この指数が上昇していれば「可処分所得」が上昇している、逆であれば減少しているのである。
去年よりも「お金が使い易くなっているか否か」の指数である。
これを見る限り、4月から急激に下降しているのがわかる。
「可処分所得」は減少し続けているのだ。
このことはある世代や性別に発生しているわけではなく、全体に起こっている事だ。
ほとんどのものが値上がりしている中収入が増えない。
だから物が売れない。
特に生活必需品以外は相当に厳しいだろう。
現状では小売り流通サービス関連業種において景気好転の感覚は持てないであろう。
むしろここ数年の円安傾向で原料費が値上がりし、利益率が減少し経営状態が厳しくなっているのではないだろうか?
では、なぜ政府やマスコミが「景気好転」のノロシを降ろさないのであろうか?
それは来年秋の消費税再値上げをどうしてもやりたいのだ。
税率を10%に上げて日本の財政を支えたい。
それを実現するまでは景気悪化を認める事はできない。
ということで、誰にでもわかる指標である「株価」の引き上げ策にやっきだ。
次のグラフはここ数年の日経平均株価の推移だ。
13年初頭から上昇し続けている。
これは今年の4月以降も上昇し続けている。
社会の景況感とは全く関係ない推移なのだ。
現在の日経平均株価は「ドル対円」の為替レートでほとんど決まる。(10月に入っていきなり下降しているがこれはまた違う事情)
次のグラフは為替レートの推移である。
円安に振れたタイミングと株価が上昇したタイミングがほぼ一緒であるのに気づくであろう。
ということで、現在政府としては「円安政策」(金融緩和政策、それも大胆な)することで株価を維持している状態なのだ。
ちなみに10月に入って急に下落に転じた理由とは。
輸出系大手企業が「いくらなんでも円安が進み過ぎ!1ドル105円くらいが適正」と言い出した。
事と。
米国の9月雇用統計が出て新規雇用者数が想定の20万人を大きく越えた事で、現在行なっている金融緩和策(QE3)を解除し金利を上げる可能性が出てきた事による。
もっとも米国が金利を上げても日本が上げなければ円安が続くはずだが、このことで先進国で金融緩和を大々的にやっているのが日本だけになってしまうことを考えると日本としても金融の引き締めを行なうのではないかと投資家が予見するのは普通であろう。
ということで、世の中的には株価上昇の原因である「円安」がそろそろ限界かな、という見方をしているので10月に入ってから日経平均の流れが変調した。
さて、これからどうする?というのが興味あるところだが、そのあたりの話は専門の方々にお任せして。
結局株価だけを見て景気の善し悪しを判断するのは大いに間違っている。
危惧しているのは「可処分所得」の減少状態がいつまで続くのかだ。
労働者全員の「賃上げ」が物価上昇の上げ幅よりも大きくなれば良いが、そんな事は現実には考えにくい。
となると、物の価格が下がらなければならない。
下がらないと売れない。
しかし、そうすると事業者の利益は増えない。
そしてそれは「アベノミクス」の考え方とは違う。
はてさて、本音と建前どちらに軍配が上がるか?
しっかりと見守る必要がある。
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