目標達成のために「誰が何を担当する」かを決めたい。
その前にやること。
それはそれぞれが抱えている”仕事”や”作業”をテーブルの上に並べること。
本当の目標を達成するために必要なものと必要でないものと検証して仕分ける。
必要性が高く業務に専門性があるものほど仕分けは簡単に進む。
「誰が」その仕事を担当するべきかも容易に割り振れるであろう。
問題はこんな言葉が出てくる業務だ。
「この仕事(作業)って何のためにやってるの?」
前任者の仕事の引き継ぎだったり、上長から言われてルーティンでやってる作業が必ず出てくる。
そんな仕事が出てきたら必ず考えて欲しい。
「本当の目標を達成するために必要な仕事なのか?」
これについては徹底的に議論をするべきだ。
もしも、皆が異口同音で「いらないね!」という仕事だとしたら、そんな仕事が放置されていた組織に問題がある。
通常は「とりあえず必要なのかもしれない」という曖昧な仕事の可能性が高い。
そんな時は「それをしなければどのような支障が起こるのか?」を検証したい。
または「本当の目標を達成するために0から考えたると組み込むべき仕事なのか?」と考えるのも良い。
それでも「やっぱり必要だな」という結論になったら「じゃあそれは誰がやる?」という担当分けになる。
ここは注意が必要。
必要性が曖昧な仕事を「今までやってくれていたので」という理由で担当を振り分けるのはちょっと待ったほうが良い。
目的や成果が明確でなく「必要なのか?」と周囲に思われる仕事を好き好んでやる人はいない。
「では誰がやるのが適切なのか?」
それぞれの組織と仕事の内容で答えを考えるべきだ。
人材紹介会社D社においてはこんな具合だ。
求人情報データの入力というのは大変手間がかかるし”誰がやっても変わらない”単純作業。
それでも、これは必要な仕事。
現場のメンバーは常に動いている、企業との打ち合わせ求職者との面談。
それではその作業を専門に行う人を採用しましょうか?
いや、中小企業では専任者を置くほどの金銭的余裕はない。
そこでこの作業をどうするべきかをチームで話し合った。
答えは「分担する」だった。
すべてのスタッフが「空いている時間を使って求人情報を入力する」ことを決めたのである。
隙間の時間ができたら営業マンやカウンセラーが「入力マン」に変身するのだ。
この「全員入力マン」状態を作ることで面白いことが起こった。
「全メンバーが全求人情報を把握する」という状況になった。
このことは人材紹介の業務に於いては「素晴らしい武器」となる。
求人者と面談をするカウンセラーが求人情報の全てを把握しているとすれば、求職者にとってこんなに心強いカウンセリングはない。
結果的には他社を圧倒する決定率を誇る人材紹介会社となった。
これは「誰にでもできる作業」を「全員に分担」することで「企業としての価値を増幅」させた好例であろう。
日頃「この仕事面倒だな、なんのためにやってんだろう」なんて思っていて「これさえなければもっと仕事の効率があがる」と考えているものこそ、実は大いなる価値を生むものかもしれない。
「障害物」だと思っていた仕事が素晴らしき「魅力」になることも場合によっては起きる。
もちろんそんなにうまい話がどこにでも転がっているものでもない。
「障害物」は本当に障害なのかもしれない、その時は思い切って切り離す決断も必要だ。
そちらにしてもその決断、判断は早い方が良い。
それは組織のリーダーとしてやらなければならないことの第一である。