「経営者の仕事とは何か?」
自分のやりたいことを実現するために、最高権力者として振る舞い、結果的に個人の資産を増やすこと。
経営の仕事を知らない人はそのように思っているのではないだろうか?
このような個人的欲求を達成するために経営者になれば、今流行りの「ブラック企業」の仲間入りと烙印を押されて早晩消滅する可能性は高い。
個人の欲求とは違ったところに経営者の仕事があると信じている。
大きく3つあるその仕事とは。
・”事業”を産み出す。
不思議と「これからはこういう事業が必要だ」と頭の中だけで考えたものは成功しない。
取引をしているお客さんと会話することで様々なヒントが生まれてくる。
それをどう解決するのか?それが事業の種になる。
しかし「種」は所詮ネタである。
それをどう発芽させるか?が問題だ。
発芽させる前に腐らせてしまった種はたくさんある。
発芽させるには「土」や「水」が必要だ。
「土」は人、「水」は資金だとしよう。
土に「この芽を育てろ!」と言っても「ヤダ!」と言われたら育たない。
水をやるにはジョウロや水道が必要だ、それを用意できなければ土も乾燥する。
種を見つけて土のやる気を盛り上げて水を与え続ける。
これが経営者として一番最初の仕事ではなかろうか?
・”資産”を活用する。
自然界においては、みかんの種は梨を産まないしイチゴの種も林檎を産むことはない。
しかし、事業の「種」が結実するときには当初思ったような「形」ではないかもしれない。
「実になるのであれば良し!」とするのか「みかんしか認めん!」とするのかは経営者の考えかた次第。
経営者のこだわりの部分である。
自分は「実になるのであればOK!」でやってきた。
日本の中小企業、特に製造業においては「みかんの種で梨を産む」ようなことが普通に行われてきた。
印刷の技術を利用して「半導体」の製造を行った事例がある。
もしも印刷業が「紙に色を着ける」ことにこだわっていたらそんな事業は産まれなかった。
今、自社が持っている「資産」が一体何を産み出す可能性があるのか?
0ベースで事業を見つめながら社会との結合点を俯瞰で見るのが経営者の仕事だ。
・”未来”を創る
個人事業主のように社員を持たない経営者であれば自分のいない会社をイメージする必要はないだろう。
自分後の経営者をどうするべきか?
それは「どういう会社であるべきか?」という問いになる。
経営指南の書籍でもコンサルタントでも異口同音に言うのが「経営とは理念である」
確かに大切なことである。
しかし、もっと考えるべきことがある。
「どのような組織を創るのか?」
官僚的組織か、自由闊達な組織か、それとは別の何かか?
社会環境の変化は昨日までの中心事業を無価値なものにすることがある。
事業のドメインを守ることだけにこだわれば会社を崩壊させる恐れもある。
今こそ組織作りを真剣に考えるべきだ。
変化に対応できる、誰もが未来に希望を持てる、イキイキと働くことができる組織。
未来を創るのは経営者個人ではなく、経営者が育んだ「組織」である。
「自ら事業を産み出し変化に対応できる活気ある組織」
それこそが未来を創る組織ではなかろうか?
さて
「事業を産み出し育て未来に繋げる」
それが経営者の真の仕事であると自分は信じている。
会社とは経営者の自己満足実現の手段ではない。
それにしても、
人生のほぼ半分を経営者として過ごしてきたがまだ道半である。
これからも精進しつつ、さらなる高みを目指していきたい。
テトリスシリーズは今回で終了、気が向いたら続編をしようかなぁ。