社内クーデターにより全てのメンバーを失ったパセリ。
とりあえずは、親会社のドゥプランニングのスタッフに手伝ってもらい通常業務を進められるようにする。
そして新たなメンバーの採用。
人材紹介、採用媒体、友人からの紹介、あらゆる手を尽くして人を集める。
世の中は就職氷河期、比較的採用活動はやりやすい。
同時に会社としての体制作りを考える。
就業規則、人事制度を作成。
昇給昇格の規定も職級制度も作った。
目標管理制度を導入し、教育研修と査定基準についても明確にしていった。
いわゆる「普通の会社」になろうとしていた。
世の中はネットバブルの様相。
ネット企業であればどんな規模でも上場予備群。
当然のように当社にも話はやってくる。
しかし全ての話を断った。
理由は「組織ができていないから」
内部の組織固めをしないで目の前の泡を掴んでも必ず後悔すると思った。
ネットビジネスをやる”普通の会社”になろうとするパセリ。
ピラミッド型の組織が出来上がり、現場、リーダー、マネジャーの階層別に役割分担が行われた。
人事評価はロールモデルを設定して、個々人の能力を全方位で査定する、足りない能力を気づかせて向上促進をフィードバックする。
個人はマネジャーから指示された行動目標を実行することに腐心する。
新たな取組みや試みも上長にお伺いを立てなければならない。
ビジネスを考えるよりも社内評価に関心を持つ組織になる。
確かにネットビジネス黎明期から混沌期にはこの組織は有効だったと思う。
組織の力が分散せずに既存のビジネスモデルに集中できた。
当時、GoogleやYahoo!の有料広告が始まり、iモードコンテンツが普及する。
ネットの社会が騒がしくなり、ビジネスが勃興し始める。
あれもこれもと手を出して中途半端な状態で消えていくベンチャーが後を絶たない。
そしてネットバブルが崩壊する。
新たな領域やビジネスに参入しにくい体質であったパセリは、結果的にバブル崩壊で影響を受けなかった。
業績も多少の凸凹はありながらも、なだらかに右肩上がりを続けていく。
しかし2011年をピークに下降する。
学び市場全体が停滞してきた。
学び市場は世の中が不景気になったり不安定になると生徒が増加する傾向がある。
2008年のリーマンショックでも生徒が増加、2011年の大震災の際にも生徒は増加した。
増加すれば、必ずその反動はある。
予測通りに12年の下半期からユーザーが減少し始めた。
13年になり、政権交代が起こり世の中が景気上昇モードに入った。
学び市場の下降傾向が止まらない。
ネットの世界では、情報端末が多様化しガラケーからスマホに急激に変化し、その対策に追われる。
結果、13年は12年よりも業績が悪化した。
そして14年の1月を迎える。
1月というのは学び市場では一番生徒を集めやすい月である。
その1月にユーザーが”やってこない”
いつもの1月ではない。
競合媒体や各クライアントも含めて市場全体がシュリンクしている状況になった。
14年の上半期は惨憺たる結果になる。
売上の減少もさることながら、利益の減少が激しい。
ネット集客するために検索エンジン(GoogleやYahoo!)に支払う金額が年々上昇している。
減少している生徒予備群を獲得するべく、業界間で競い合いが生じている。
検索エンジンだけが収益を上げていて学び業界全体で収益を減少させている。
(このままでは危機的状況になる)
何かを変える必要があった。
14年2月の結果を見て気持ちを固めた。
(独裁と言われても良い、トップダウンで全てを見直し危機を脱出しなければならない)
組織のあり方、商品企画、収益構造これらを全てを見直すことを決める。
まずは営業領域。
市場がシュリンクして3年になる。クライアントも生徒集めに苦心している。
(クライアントの本来求める結果にコミットしよう)
クライアントの経営を安定させるために何をなすべきか?
というテーマでチームと議論を重ねた。
議論は階層関係なく1年目からマネジャーまで全てが同じ土壌で行った。
・クライアントが求める「本当の成果、目的」とは何か?
・我々が持っているモノ(特性)とは何か?
・今の売上に貢献するだけでなく将来を見通した商品とは何か?
議論は数日に及んだ。しかし全員が納得するまで終われない。
全員が理解してから1週間も経過しないうちに新商品が生まれた。
それは創業時のパセリでもできないほどの速さと内容の濃さであった。
営業の行動もめざましく、狙った以上の売上と効果をもたらした。
次に集客領域。
売上が上がらないのにコストがかかる状態をなんとか変えなければならない。
それにはいくつかの方法が考えられる。
・外注している仕事の一部を自社で行う。
・外注先を変える。
・集客方法を根底から見直す。
通常であれば、これらを実現可能な順に少しづつ行うであろう。
従来のパセリであればそうしたはずだ。
しかし、これら全てを即座に実行した。
集客方法を根底から見直しながら、コスト削減のために外注の作業量を減らし、コンペを実施して外注先のコスト全体を削減した。
結果は翌月から如実に出た。
利益率が向上し始めた。
そして、組織改革を行った。
新しいアイデアやビジネスプランが創造しにくい環境であった組織を変える必要があった。
・個人目標重視から「チーム目標」重視へ
・チームリーダーの選出は年功や職級を無視する(下克上もあり)
・トップと現場を直結してフラットな組織にする
現場のニーズを汲み取り、間髪入れずに施策を打てるようになる。
新たなビジネスの卵が幾つも生まれている。
苦難の13年14年を過ごしたパセリ。
15年に入り何が起こっているのか?
社内の雰囲気が激変しているのがわかる。
朝夕、メンバーがデスクにいる時間帯は「騒がしい」
それぞれのシマで「ミニ会議」が実施されており、部署をまたいで打ち合わせが行われている。
業績は、1月から現在まで過去最高の収益を記録している。
既存ビジネスはすべて売上目標を達成、新規ビジネスも着実に育っている。
もはやネットビジネスをやってる「普通の会社」ではない。
「アグレッシブな組織」がネットを活用した「社会機能ビジネス」を産み出している!に変化している。
道まだ半ばではあるし、これからの展開は未知数ではあるがそれ故に楽しい部分も多い。
次回、これからのテトリスマネジメントについて書いてみたい。