ネットラジオ「キャッチナウ」でゲストに迎えたのは「中小企業製造業と学生を結ぶ」ビジネスを展開しているソーシャルデザイニング研究所(ソーシャル)の清水さん。
元々は大学三年生に「就職の心構え」や「履歴書の書き方」「面接の受け方」等、就職の際に役立つ知識やスキルを教えるビジネスをしていた。
今年、新たな就職協定で8月スタート10月内定。
この短さでは学生にも混乱が起こるであろうという予測のもと、新卒人材紹介を始めた。
案の定、10月の内定率は昨年よりも下回り、学生たちは未だに就職活動を継続している。
来年は6月スタートになるらしいが、果たしてそれで何が解決するであろうか?
ソーシャルはあえて有名校ではない学校に目を向け、理系学生を中心に就労支援を行っている。
結果的に「中小規模の製造業」が就労先となる可能性が高い。
そこで出てくる様々な問題。
学生と企業、双方ですれ違う思い。
それらを解決し中小企業が新卒採用を成功させる秘訣などを話してもらった。
なかなか深い内容になっておりと思うので是非聞いてもらいたいのだが、収録してから改めて考えてみた。
「果たしていつまで新卒採用という採用方法を続けていくべきなのか?」
当社も毎年新卒採用を続けてきた。
多少業績が横ばいでも未来への投資という意味からも必要だと判断したからだ。
幸い、当社が採用した新卒学生たちは意欲も高く戦力として活躍してくれている。
しかし最近では新卒採用を最優先に考えることをやめた。
事業推進の中で必要とされる人材をその都度採用する。
その際に新卒既卒にこだわらない。
もしも事業が停滞もしくは撤退するのであれば採用は止める。
即戦力採用も目的の一つである。
しかし、昨今の「売り手市場感」が異常だと思うからだ。
メディアも採用媒体も「売り手有利」を煽りすぎている。
そのことが採用する側の危機感を煽っており、結果的に採用広告費や紹介料の高騰を招いている。
一方で採用される側も「妙な勘違い」を起こしており「どこかに就職できるだろう」的に危機感が欠落している。
だから就職が他人任せになっており、自分で考えなくなっている。
有効求人倍率が1倍を超えた頃から如実にこの現象が出始めている。
「美味しい思い」をしているには採用媒体や仲介業者である。
最近では「劣悪」な業者も出てきている。
求人情報と求職情報を単純にマッチングさせて、機械的に紹介するような無責任な紹介業。
求人情報だけ何万件も掲載して広告費を取り、一人の応募者もない媒体。
これらの企業は数年後には撤退するとは思うが、そのような企業に「食物」にされているのが中小企業。
これらにいいように利用されないようにする「知恵」が必要なのだ。
「媒体」だけを信じない、「学校名」だけで判断しない、「本当に必要か?」を考える。
これらを是非実践してもらいたい。
採用媒体とは掲載数が多ければ人が集まると言われてきた。
確かにその要素は未だに大いにあるであろう。
しかし時代は進んでいる「パーソナル化」の中で自分に適した情報がないのであれば「大いなる数は大いなる無駄である」
大いなる無駄の中から自分に適した情報を拾い上げるようなことを最近の学生はしない。
採用媒体の機能はこれから変わるはずだ。今は過渡期にあることを理解して付き合うべきだ。
「大学名不問」という大手企業が出てきた。
有名大学や偏差値の高い大学には優勝な人材がいる「可能性」が高いだけである。
優秀な人材は学校名を問わず結構いる。
問題は何を「優秀」とするかである。
自社の事業で何を担ってもらうのかによって「優秀」は変わるであろう。
仮に「バイオ」の最先端開発部門であれば相当偏差値の高い学校から採用した方が無難であろう。
しかし「現場」で活躍する社員を採用するのに偏差値の高さは必要ない。
むしろ仕事に対する思いや集中力が大事だ。
学校名で判断するのは時代遅れだ。
最後に「本当に採用する必要があるのか?」を問うべきだ。
これから労働人口の減少が確実な日本。
人材を常に補充する採用をしなければならないビジネスモデルはやがて衰退するであろう。
「社員」ではない人材を活用する。
例えば地域を問わずに他社と「コラボレーション」するなど。
当社は四国松山の企業とコラボレーションして内部スタッフのように活躍してもらっている。
それも基幹業務である。
そうすることで「技術革新」に対応しやすくなる。
労働コストを抑えることができる。
一元的なモノの見方を変えることができる。
など、自社採用にはないメリットもあるのだ。
販管費を下げて利益率を上げる「中小企業経営の基本」はいたずらに新卒採用を続けていては実現できない。
今こそ中小企業経営者が賢くならなければならない時代なのだ。