久しぶりにR時代の先輩、Iさんと。
会う時はだいたい二人でサシ飲み。
飲み始めはお互いの会社の状況報告。
上海支社を軌道に乗せて戻ってきて一年。
ホールディングスの副社長として関連会社の営業部門をいくつも統括している日々らしい。
根っからの営業マン。
自分も昔は相当世話になった人だ。
社長業をやっていた頃よりも顔色も良いようだ。
飲みが進んでくると「深良い話」になっていく。
どうやら今回のテーマは「営業」らしい。
I:「最近、うちの関連会社見てても思うんだけど、営業の基本ができてないんだよなぁ」
M:「お、今日は営業ネタですね!どんなことがあったんですか?」
I:「みのるさぁ、営業の基本ってなんだ?」
M:「そりゃたくさんのお客さんまわって商談作ることでしょう」
I:「だよなぁ、まずはお客さんのところに行かなきゃ始まらないだろう?ところが行かないで商談をしようとする。メールで済まそうとするんだよ」
M:「それは厳しいですね、昨今確かに増えている手法ではありますが、Iさんの会社のようにコンサル系だと会わなきゃ話にならない」
I:「そうなんだよなぁ。効率重視という方針でそうしているらしいけど、本末転倒なんだよ、商談が増えない」
M:「それは違いますねぇ」
I:「それとな、ヨミ会するとなヨミがたくさんあるんだよ」
M:「ヨミ会、懐かしいですねぇ、ヨミがたくさんあるってことは悪くないんじゃないですか?」
I:「いや、そのヨミがいつもいっぱい、いつも同じ銘柄、これって結局仕事してないってことだよな」
M:「相変わらず手厳しいなぁ、確かにヨミがたくさんあると営業マンって安心して次やらないですからね」
I:「そう、ヨミは白黒はっきりさせるためのもの。いつもでも残しているのは仕事ができていないってこと。お客さんの話が聞けていないから白黒はっきりできない。これってダメな営業マンだね」
M:「うーん、昔そんなこと言われたような気がするなぁ、でも納得です」
I:「ヨミ表はね、空っぽがいいんだよ。そうすると次の動きを相談できる。どうやってヨミを作るかね。それが仕事だよ」
「やっぱり営業にウルトラCはないと思うなぁ、基本をしっかりとやりきること、それしかないよ」
M:「金言ですね、お客さんに会って商談を作り、その商談に結論を出すこと、当たり前のようでいて今ではなかなかに難しいですね」
「一方で、基本というか教えられたことを忠実に従う、マニュアル世代が増えたと思いませんか?」
I:「それも多いね、先輩に言われた通りマニュアルにある通りに説明をする営業マンね」
M:「相手の反応を気にしない、むしろ伝えるべきことを伝えることに役割意識を持ってしまっている。これでは営業の仕事はできませんよね?」
I:「そう、営業はモノを売ること、売り込むことと思っている人が多い。そうではなくて『問題解決』するのが仕事なんだよなぁ」
M:「そうですね、しかしお客さんの話を聞くことができない人が増えている気がするんです。相手に関心がないっていうか・・・」
I:「関心がない、まさにそれなんだよ!お客さんに関心がないだけじゃない、社内のメンバーにも関心がない人が増えている」
M:「自分以外に関心がないっていうことですかね?確かに人間同士の関わりが薄くなっているっていう感じですね」
I:「だから営業でも社内プレゼンでも相手のリアクションを気にしない。相手がどう感じているのか?関心を持っているのか?を気にしないから資料を読んでいるだけ、それって誰のためにやってるの?って感じだね」
M:「相手を感じる、気にする、関心を持つ、それが足りないんですよねぇ、うーん」
I:「そう、それってあれだよ、一言で言うと大事な言葉」
M:「言っちゃいます?それ」
I:「そうだよ、『愛』なんだよなぁ」
M:「愛が足りないってことですね」
I:「愛が足りないんだよ、相手のことを考える思う気持ちだよ、それがないから良い仕事ができない」
M:「来ましたねぇ、今日の金言。確かに言えてる気がしますね。愛があれば相手の感じ方も気になる、困っていることを真剣に聞いてみる、解決の方法を一緒に考える、社内でも社外でも一緒ですね」
I:「愛すれば自分のリスクなんて気にしなくなる。断られたらそうしようとか、こんなこと言ったら嫌がられるんじゃないかって。本当に相手のことを思うなら嫌なことでも言わなければならない。言ってあげることが『愛」だろ?」
M:「くぅ〜、泣けますね!その通りです!Iさんの昔の口説き文句ですねぇ(笑)」
I:「余計なこと言ってんじゃないよ!営業も男女間も一緒だろ?」
M:「そうですね、それを教えてくださったのは紛れもなくIさんでしたから」
二軒はしごして語り明かした結果がこれであった。
後半は二人とも焼酎からハイボールに移っていたのでかなりテンションも高くなっていたが、頭はしっかりしている?
酔っ払いの戯言とするにはちょっともったいない気がしたので「備忘録」