今週配信された「キャッチナウ」の話から、先週に続いてもう一つ。
先週の話ではキャリアデザインよりもキャリアドリフトの思考が必要になる話をした。
その理由はイノベーション領域が増えているという社会環境やビジネス環境を鑑みてのこと。
だから会社という組織も変わっていかなければならない、いつまでも高度成長期の遺物を引きずっているわけにはいかない。
そうなると、組織で成功する人材像も変わっていくはず。
新たなに人材採用時に求める素養も変わってくる。
そんな話を曽和氏と勧めてみた。
「今後会社で必要とされる人材とはどのような人になりますか?」
「承認欲求が強い人から自らやりがいや目標を作れる人、ということになりますね」
「ということは、自分のやったことに他者からの評価を期待する人よりも、他者からなにを言われようとも自らの評価軸で仕事をやってしまうような人ってことですか?」
「そうですね、他人からの評価を期待するということは『価値基準』が他者に存在します。そうではなく『価値基準』いわゆる『イケてる』基準を自らに持っていることはイノベーションを産みやすいと言えます」
「なるほど、上司の顔色を見ながら仕事をするよりも自分でなんかやっちまうような奴が今後は重要だということですね(笑)」
「そうですね、そういう人物は以前から存在していましたが『異端児』であり『組織的人物ではない』と思われ組織の中心になりにくかった」
「そりゃそうでしょうね、どちらかといえば自分で事業を興してしまうような人材とも言えそうです、上司としては扱いにくいでしょうね(笑)」
「そうですね(笑)、ですから上司の役割も変わっていきます。経営層の指示を待って部下に目標設定と行動を支持していたスタイルでは、これからの人材は育ちません。もっとメンバー自らが自発的に動ける環境を作ることが大切です。」
「なるほど、『外発的動機付け』から『内発的動機付け』がマネジャーの仕事になりそうですね」
「そういうことになります。しかし今のマネジャーたちはそのような訓練を受けていません。上司の言うことを『いいからやれ!』と言われて育った人たちです」
「そうですね、我々もそうでした(笑)」
「そういう上司は『虐待の連鎖』によって自らやられたことを部下にやり返す特性を持っています」
「それでは育たないということですね?」
「そうです『虐待の連鎖』はここで食い止めなければなりません」
「マネジャーには耳の痛い話になりそうです。さてそうなると新卒社員を採用する際に注意しなければいけないポイントもあるのですか?」
「そうですね、以前は面接で『今までの人生で一番挫折したことは何ですか?』なんて質問してませんでしたか?」
「してましたね!挫折経験のある人材は組織での順応性が高いと思われていますからね」
「そうですよね、挫折経験のある人は人一番承認欲求が強いからです」
「なるほど!先ほどの話にあった承認欲求が強い人材につながります」
「そうなんです、これからは『根拠のない自信』を持っているような人材の方が組織に必要となります」
「え、『根拠のない自信』ですか?ちょっと厄介者にも感じますが・・・」
「一見そうのように感じがちですが、そのような人材は打たれ強いのです」
「と言いますと?」
「挫折を経験した人は『失敗』を経験して次は失敗しないようにしようと考えます。しかし自信のある人は『失敗』しても差して深刻に受け止めずに『なんとかなるでしょ』と楽観主義です」
「なるほど、それが『自らのやりがい』や『自らの目標』になっていくわけですね?」
「んー、わかる気がしますけど、そんな人材のマネジメントは大変そうですね?」
「そうですね、『失敗』を責めて責任感を持たせるなんてマネジメントが効きません。基本楽観的ですからね(笑)」
「やはり『内発的動機付け』が必要になるのですね?」
「そうですね、メンバーの想像力や自発力を育成するのがマネジャーの仕事になるようですね」
以上はラジオで収録できなかった部分の会話を足して再構成して書き出したものである。
成功する人材、採用すべき人材がお分かりいただけたであろうか?
自分は話をお聞きしていて「それはまさにその通り!」と頷くことが多かった。
求める人材、活躍できる人材が変わってくる組織。
マネジャーには受難の時代とも言えそうだ。
しかし、一番考えなければならないのは「経営者」のあり方であろう。
世に中、本当に変化の時代を迎えたのだ。