ネット業界のビジネスモデルは「成果報酬」が一般的である。
当社も学びメディア事業において「資料請求課金」という成果報酬ビジネスモデルを20年近く導入している。
資料請求者の情報をお客さんに提供するビジネスモデルなので「請求データという名の成果」を商品としている。
この商品、品質には大変こだわっておりまして・・・、などという説明は媒体資料に任せるとして。
このビジネスモデル、実は当社だけではなく同業他社も当然真似してきている。
さぞや価格交渉されて大変なのでは?とご心配くださる?
業界で単価が高い当社には「価格交渉」という概念はない。
なぜなら「お客さんが求める成果」を出せる自信があるから。
さて、今回は「労働の成果とはなんぞや?」という話。
古い話で恐縮ではあるが、マルクスさんが語る「物象化」によると、「労働」を「物件」としてみなすことにより、労働力は「商品」になりその対価として「賃金」が支払われるとなっている。(詳細は難しいので省く!)
「労働」という名の「商品」が存在して、それを資本家(会社)に売ることで「賃金」を得る仕組みってことね。
さて、「労働の商品価値」とはどのように規定するのか?
営業マンを事例にしてみよう。
営業マンは『自社の製品(商品)をお客さんに販売する』という「労働」が「商品」と言える。
その「商品」を「会社」が買うので営業マンは「賃金」を得るわけだ。
ということは営業マンの商品は、お客さんが「購入する」行為をしなければ完成しない。
お客さんが買わなければ「商品」ではないので会社は「賃金」を営業マンに払う必要がない。
この仕組みは「完全出来高制報酬」の営業マンにある。
このような契約スタイルで仕事をされている方もまだまだ存在しているであろう。
しかし、本当に営業マンの仕事(商品価値)は「お客さんに販売すること」だけであろうか?
相手の状況を知り課題を抽出し適切なアドバイスをする。それらを統合して業界の動きを知る。
それも営業マンの仕事であり「労働の成果」だと考えたらどうだろう?
お客目線を考えてみる。
「価値ある営業マン」とは何か?
「自分(自社)にとってメリットを運んでくれる、知識やアイデアを提供してくれる、発見を与えてくれる」
お客さんは、そんな「大切な人」を求めているのだ。
「大切な人」となる営業マンには「ぜひ来てもらいたい」ので「金を払ってでも来て欲しい!」そう思う人も多い。
最近ではこれを「コンサル営業」と言う。そしてお客さんは「コンサルフィー」という報酬を払う場合もある。
「売れない営業マン」の中には「自社商品という『企画モノ』を売ろうとするから売れない」そんな人もいるのだ。
「営業マンの労働成果」を「顧客の購入行動を促すこと」と決めてしまうことで営業マンの「商品価値」を下げてしまっている結果だ。
「会社」も営業マンの「商品価値」を限定しないで「新たな商品開発」にも広げていくことを検討したほうが良い。
これはどのような職種、業種でも当てはまる。
ホテルマンの商品価値とは何か?
同じような立地でも、カプセルホテルで一泊5000円、一流ホテルで一泊10万円。
この差は何か?
一泊の寝床を提供することを「成果」とするカプセルホテル。
超一流ホテルではどうだろうか?
彼らは「寝床を提供する」だけが労働の成果ではない。
お客さんの「満足」という”感性”の成果を得ることが彼らの労働の成果であり、それによって「賃金」を得ている。
「満足」という感性の成果を得るためにお客さんは「高い宿泊費」を支払う。
これはホテルマンの労働に対する成果についての報酬である。
「労働の対価」は一律ではない。
同じ業種、職種でも「高い」「低い」があるのは当然なのだ。
お客さんの「感性の満足度」を満たすことができれば「労働の価値」は高まるのだ。
腹が減ったからそれを満たすために食べるものは何でも良いのだろうか?
もちろん、時と場合によるが通常の場合であれば「食べたいもの」を食べるし、それに見合った「支払い」をする。
フランス料理でお腹を満たすのと、冷凍たこ焼きでお腹を満たすのでは「支払い」は違う。
「腹を満たすという成果はどれであろうと同じだろう、だから報酬は同じだ!」という乱暴な理屈が通るはずもない。
同じ「成果」であっても「感性の満足度」によりその報酬は変化する。
デフレ脱却のヒントはこんなところにもあると思うのだが、いかがだろうか?