一般のニュースで取り上げられることはあまり無いが、最近のビジネスニュースで話題の「神戸製鋼のデータ改竄問題」
先日までは「日産自動車の無資格検査問題」が話題だったのに、話題がすっかり持って行かれた。
これを機に、新聞などは「日本の製造業に綻び」と「メイドインジャパン」ブランドの凋落を嘆く。
先週、経営者勉強会でS先輩にお会いした。
ドイツの自動車イベントに参加し、現地のメーカー(BMW)の工場見学をしてきたらしい。
現地ではかなりの刺激を受けたらしく、興奮気味にいろいろなことを教えてもらった。
「工場に残業という概念がないんだよ」
EUでは残業させることを良しとしない文化らしく、仮に残業や休日出勤をすると必ず「代休」を取ることになるらしい。
要は「金で解決」しないという方針?
元々職人文化のヨーロッパでは、経営と労働の考え方が熟成されている。
商品についても考え方がしっかりしている。
熟練の職人が作った匠は質が良いから高価、経験の浅い職人のものはそこまでの質はないので安価。
日本では「高品質を安く」が染み付いてしまっているようだ、熟練クラスの良質のものでも安価で提供する。
それを量産しようとする、基準に満たないものは全て廃棄!
ドイツやヨーロッパでは「作ったものを無駄にしない」
「特A」クラス品質のものは「特A」クラスのメーカーに供給する。
同じ工場で作ってもBクラスやCクラスは品質に見合ったニーズのメーカーに供給するようになっているらしい。
だから、その工場で作るものの全てが「特A」クラスである必要がない。
それは品質管理がゆるいわけではない。
「全ての商品に特Aの品質が求められているわけではない、B、Cクラスの品質も同じラインで製造する」
そうすることでスキルの高い社員にのみ負担が増えることを防ぐことができる。
経験の浅い社員でも商品を作る工程に携わることができるので「生産性の向上」が見込める。
経験を増やせば高いスキルを身につけて「特A」クラスの商品を作ることができるようになる。
これって無駄を排除する考え方。
使う目的に合わせてスペックを下げても良いという概念。
どうやら日本の製造業にはそのような概念があまりないのかもしれない。
「良いものを作れば認められる」「納期短縮は限界まで挑戦」「競合よりも安くするには原価を徹底的に下げる」
そう言った強迫観念がある意味で日本の製造業を支えてきた。
しかし、ヨーロッパではもっと効率的に社会に適合しながら製造業を経営しているらしい。
「日本は今まで大量生産大量消費のアメリカ型製造業を目指してきたけど、これからは合理的効率的なヨーロッパ型を目指した方が良いと思う」
S先輩は以前からそのような話をよくする人であったが、今回はより一層感じたそうだ。
冒頭の神戸製鋼や日産自動車の問題もそんな「日本の製造業」のガチガチに縛られた強迫観念から出てきた歪みかもしれない。
実際のところ両社の製品を使って「不具合」が起こったという話は報告されていない、求められた品質はクリアしているからだろう。
経営サイドの要求が現場の状況を超えてしまっていたことが原因かもしれない。
経営サイドの要求は「オーバースペック?」
「より早く、安く、良いものを」という経営を見直す時期が来ているのではないだろうか。
日本の製造業は未だに大手メーカーを頂点にしてピラミッド型担っている産業構造だ。
大手メーカーの経営者こそ判断をしなければいけない気がする。
もしかするとこのタイミングに乗って中小企業の製造業が躍進する「下克上」が起こるかもしれない。
S先輩はそんなニュアンスの話もしていたような気がする。
我々サービス業も学ぶべき問題だなぁとつくづく感じた、経営者勉強会の後の飲み会だった!