※今回の記事はとっても長いです。そして、ちょっと物語風です。
なりきって書いているのでいろいろとご容赦くださいね!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
12月14日金曜日。
朝6時42分、いつもよりも少し早めに目が覚める。
「さぶ・・・」床暖房のスイッチを入れて、テレビの電源を入れる。
東側のブラインドを少し開けると、薄い朝靄にスカイツリー。
快晴。
「よし!」
今日は、年に一度の「忘年会パーティー」
社員全員が楽器を手にして、ライブハウスで演奏をする。
全員参加型にして今年で3年目。恒例の社内行事になった。
10月の社員総会で各チームのメンバー発表を行い、会議室スタジオ(?)の使用曜日を決めた。
それから2ヶ月間で各バンドは仕上げてきた。
自分もバンドを組んで7曲演奏をする。
それなりの練習は積んできたが、やはり多少派緊張するものだ。
テレビの天気予報では夜中から雨が降り出すそうだ。
今日は二次会が10時過ぎからだから帰りは確実に雨に降られそうだ。
いつもチェックしているテレビの占いは8位。まぁ可もなく不可もなく。
『そうだ、今日は午前中リーダー会だ、大阪からもメンバーが来る』
パーティーの事ばかり考ている場合じゃない。
いつもよりも少し早めに家を出た。
「おはよう!」
会社の雰囲気がいつもとちょっと違う、緊張感。
リーダー会議、マネジャー会議、大阪との打ち合わせが終わり、ランチに。
「なんか、今日は雰囲気ちゃうな!」
今年入社した大阪メンバー。
「そりゃそうだ、今日は特別な日だからな。本番になればもっとわかるよ」
「なんか、本気やん!」
「ああ、本気だよ、祭りだからね」
15時、運ぶ機材や荷物を会議室に集める。
若手メンバーはこの時点で仕事中止。
一気にライブモード突入。
「忘れ物確認して!」
「これで全部のはずです、大丈夫です!」
15時40分、機材搬出。飯田橋のライブハウスへ向う。
「おはようございます!」
ライブハウスのスタッフと挨拶、今年で3回目になる。
「今日もよろしくお願いします」
16時半、セッティングが終了。
「じゃあサウンドチェックお願いします」
担当は自分たちのバンド。
思った以上にギターのセッティングに手こずる。
「高音のハウリングが取れないですね・・・」
『珍しいなぁ、ライブ慣れしてても、緊張するんだなぁ』
サウンドチェックと7曲のリハーサルが終了。
「次のバンドセッティングお願いします」
「すいません、まだメンバーそろってないです」
「おいおい、じゃあその次のバンドやろう」
まぁ良くある事だ。たいした問題ではない。
「・・・すいません」
「何?」
「ギターが見あたらないです」
「はぁ?」
「会社からギター、持ってきてないみたいです」
「うそだろ?確認したろ?」
「・・・はい、でも見当たりません・・・」
「まったく・・・、仕方ない会社に取りにいってもらってよ!」
少しイラついた口調でたしなめる。
『いかん、雰囲気が悪くなる、冷静に!』
とりあえず、会社に取りにいってもらい、その間は我々のバンドのギターを貸す事に。
各バンド、順次リハーサル。
『みんな練習してきたんだなぁ、うまくなったよなぁ』
リハーサルが終了し、メンバーは思い思いに過ごす。衣装チェンジしたり一服したり。
自分のバンドメンバーと目が合い、ミキサーの前で一服。
「みんなうまくなりましたよね」
「うん、3年目だからね、ギリギリのバンドもあったけど」
「でも、楽しそうですよ」
「なら良いんだけどね・・・」
メンバーにもそれぞれ個性があり、バンド編成が決まり、曲が決まると即練習スタートするチームもあれば、なかなか腰が重くて始らないチームもある。
11月初旬、男子若手バンドは練習を数回行っており、全体で合わせるレベルまで行っている。
それに比べて、男子ベテラン組(社歴)は未だに全体で練習する気配がない。
それでも、数名のメンバーは個人練習を始めており選択した曲の難しさを実感している。
「おい、大丈夫なのか?お前、何もしてないだろ?」
未だ個人練習もしていないメンバーに声をかける。
「大丈夫ですよ、なんとかなります」
「でも、お前達の選んだ曲は簡単じゃないぞ。他のメンバーも苦戦してるんじゃないのか?」
「まぁ、我々は後半でツジツマ合わせますから!」
しかし、案の定の事態になる。
「あのー、曲変えようと思うんですが・・・」
前出のメンバーが数日後相談に来る。
「はぁ、今更?他のメンバーはなんて言ってるの?」
「みんなには話してないんですけどね・・・」
「それはいかんだろ、みんなに相談してから決めてくれ」
本番まで1ヶ月。曲の変更するなら、今が限界。
翌日。
「やっぱり、変えるのやめます」
「そうか、良いけど間に合うのか?相当に難しいぞ」
「なんとか頑張ってみます」
彼らの選んだ曲は、演奏に慣れている我々でもちょっと苦戦しそうな曲である。
翌週心配になり、練習に顔を出してみる。
当然ながら全体で合わせるレベルにはなっていない。
『うーん、やばいなぁ。演奏を簡単にアレンジし直すか』
一瞬そんな思いもよぎる。
「とりあえずさぁ、自分たちのレベル知る為に合わせてみようか」
無謀とは思ったが、自分たちの出来なさ加減を知る事も大切だと思った。
結果は散々であった。
しかし、メンバーそれぞれの顔つきが変わってきたのは感じた。
「また来週までにそれぞれ練習しておいてね」
翌週の練習。
「じゃあとりあえず合わせてみようか」
・・・ん。
『おいおい、確実に進歩しているぞ。これはなんとかいけるかもしれないな』
「いいよ!みんな進歩してる、あと2週間ある。なんとか間に合わせよう」
皆の顔に安堵感。
聞けば週末、会社に来て練習していたらしい。
さすがは、責任ある仕事を任せているメンバー達である。
結局本番までの週末、会社は彼らのスタジオになっていた。
18時15分。
「開場します!」
パーティーの開始である。
オープニングアクト、ダンスパフォーマンス。
今年ブレイクした「ゴールデンボンバー」の真似を新入社員が披露。
女子4人のパフォーマンスは開場を大いに盛り上げた。
その後、社員バンド4組がそれぞれ1曲を披露。
女子Aチーム。全員が制服姿。皆かなりかわいい。しかし、ライブハウスの椅子にその格好で座ると違うお店になってしまうが・・・。
演奏も若々しく、上手だったな。
男子若手チーム。ここは練習量も多く、選んだ曲もシンプルで力強くてよかった。
女子Bチーム。ここも練習の出だしは遅かったがしっかりと調整してきた。練習よりも本番がうまいという不思議なチーム。ハッピ姿がかわいい!
男子ベテランチーム。出だしをいきなり間違えて、やり直し。でもそれはご愛嬌。見ていてヒヤヒヤしたけど、なんとか最後までやりきった!よかったね!
その後、大阪からの出し物。うーん、コメントは控えます。時間なかったよね。
今年卒業した当社の歌姫がバラードを歌う。
そして最後に自分たちのバンドで7曲。
ボーカルは会社のメンバーが代わる代わる勤める。
会場の盛り上がりはドラム席からも感じることはできる。
『うん、今年も皆盛り上がってくれたなぁ』
21時40分終演。予定よりも20分ほど早い。
「では、締めの挨拶をみのるさんに!」
『そうか、挨拶しなくちゃいかんよな、考えてなかったけど』
締めの言葉は支離滅裂。なんか真面目な事を話したが、なんのこっちゃ。
機材搬出をしていると、ライブハウスのスタッフが微笑みながら「みなさん、毎年うまくなっていきますよね、それに楽しそうだし」
「そうですか、ありがとうございます。また来年もお願いしますね!」
地下からの螺旋階段を昇り、外に出るとすっかり夜の風景。
予報どおりに雨も降り始めている。
「さぁ、機材を会社に戻して2次会に行こう!」
2次会が終わる頃には日付が変わっているだろう。
心地よい疲労感が全身を包む。
『さて、来年はこれを超えるものをやらないといかんよなぁ、どうするかな?』
明日は昼まで寝れそうだ・・・。