昨日、パセリやドゥとは全く業種の違う会社の仕事で茨城のメッキ加工工場の社長さんにご挨拶に伺いました。
通常、パセリやドゥの仕事をしているだけでは拝見することのない、工場の設備や働いている皆さんにお会いできることは大変勉強になりました。
樹脂などで造形したものにメッキ加工をする工場ですが、「全自動メッキ機」の大きさといったらそれはそれは!
暑い工場内で汗を流しながら働いている皆さん、お仕事中にお邪魔したにも関わらずご挨拶いただき、ありがとうございました。
メッキ加工ってすごいですね。本当にキラキラしてました。きれいでしたよ。
事務所にお伺いして社長さんから現在のお仕事についてお話を伺いました。
私は業界の専門用語はわかりませんでしたが、いろいろとわかったことがありました。
それは、日本の製造業の仕事の仕方というか、流れというか。
最初に発注をするメーカーさんがいます。ここが一般消費者に商品を提供する会社。
そこから、その製品を作るための様々な行程がすべて分業化され、たくさんの中小企業が担っているのです。
見学させていただいた会社の業界であれば、型起こし(?)屋さんがいて、ダイカスト屋さん(メッキ加工前の製品を作る)がいて、メッキ工場へ、さらにそれを梱包する行程があって、発注元のメーカーさんに納める。
恐らく、どの製造業においてもこのような流れで分業化されていると思うのですよ。
それで私がとっても気になったのは、メーカーさんとこのような分業を担当される工場の関係なのです。
世の中にダイカスト屋さんやメッキ加工屋さんはたくさんありますよね。
当然、仕事の取り合いになりますよね。恐らく価格や品質での戦いがあると思いますよね。ちょっと油断すればメーカーさんから仕事が来なくなってしまう。そんな危機感が常について回っているのではないでしょうか?
やはりメッキ加工業界にもそのような競争があり、特に数年前から台湾や中国との競合が多くなってきたようです。
10年以上前にとても売れていて、この工場でも稼ぎ頭になっていた商品も、数年後メーカーさんは製造工程のすべてを中国の工場にまかされていて、工場には注文が来なくなったそうです。
そのような状況でもさっき工場で見たような大きな設備を導入するのか、なんかとってもリスキーだな、と思っていると、「あの機械を入れたから注文が戻ってきたよ!」とおっしゃるわけですよ、なぜ?
聞けば、最近の不況で競合のメッキ屋さんの倒産が相次ぎ、注文が増えてきたとのこと。さらに本来であれば発注をもらう立場であったメッキ工場が製品製造のダイカスト屋さんの倒産によってメーカーからの発注を直接受けるようになり、商社のような役割まで担うようになってきたとか。
また、最近中国では人件費の高騰によって国内との価格差がなくなり、中国産のメリットがなくなってきたとか。
以上のことから、新たな設備投資によって注文を増やし、さらに製造の一工程の担い手から元請けになるというメリットまであったというのですから、すごい。
60歳を超えた社長さんの横には営業部長という名刺の息子さんがいらっしゃったので、後継者問題もクリアしていたこの会社だからできたことなのかも知れませんが、経営者としての覚悟はいかばかりだったか。
恐らく、発注元のメーカーさんもこの社長さんの覚悟を見て判断をされたのでしょうね。
日本の中小製造業の強さ、逞しさのようなものを感じるのと同時に、最近の不況で倒産する現状をまざまざと感じさせられました。
茨城からパセリ、ドゥのオフィスに戻る間、私は自社と今見てきたメッキ加工工場のことを考えていました。
何が違うのか、何が一緒なのか?
パセリ、ドゥには工場はないが人がいる。人が事業を担っている。
パセリ、ドゥは、どこかの下請けではない、がライターやデザイナーさんなど周りにたくさんの協力者がいる。
最近、我々の回りでも不況の影響により経営状況が厳しきなってきている会社の話も聞きます。
私自身、メッキ加工工場の社長さんのような前向きの決断をする必要が出てくるかもしれません。
会社が生き抜いていく、その覚悟のようなものが今、求められているのかもしれません。