リーマンショックから一年以上が過ぎ、アメリカではにわかに景気回復的な話が出てきていたり、国内でも景気回復の兆しあり、と日銀も新聞各紙も盛り上げつつある昨今。
本当に景気回復なの?という疑問は一般庶民としては当然の感覚なわけで、まだまだ回復などとは言えない状況であるのは周知。
さて、この景気後退の原因とも言える、新自由主義的[マネー資本主義]の崩壊がもたらしたものは、株価の下落や地価の下落、雇用の不安定化だけではないのではないか、と思っています。
それは、会社経営のマインドの変化ではないかと。
バブル崩壊前の高度成長期の会社経営は、基本的に右肩上がりの経済成長を背景に「イケイケ」の売上重視主義。
対前年売上上昇率の高い会社や営業マンが評価されてきました。
バブルが崩壊し、経済成長が右肩上がりではなくなった日本の90年代は、この「イケイケ」売上重視主義を見直すチャンスでもあったのですが、アメリカのマネー資本主義の勃興によって、そのチャンスを逃します。
アメリカのマネー資本主義は、お金がお金を生み出し、持てる者がさらに持てる仕組み。
日本もその仕組みをしっかり利用すると同時に、アメリカのマネーを充てにした商品の生産や輸出を増やし、バブル崩壊で傷ついた企業の収益を補填してきました。
したがって、日本の高度成長期以上に「マネー」に依存し、持っている者が強いというロジックが価値観として社会に定着していくのです。
結果として、数年前に話題になりました、某ファンド会社のM社長の「お金儲けは悪いことですか!」発言に象徴されるような経営者が増加したわけです。
その頃の社会は、対前年売上上昇率の高い会社や、創業早期での上場がもてはやされ、何を生み出している会社なのか、経営の理念はどこにあるのかは全く無視されていました。
当然、経営者の中にも売上増を目指し、上場を目的化し、株価を上げるシナリオを無理矢理作成していた輩は多かったように思います。
マネー資本主義が崩壊し、そのような企業も価値を大きく損壊しました。その結果、何が残ったのでしょうか?
若年上場企業の粉飾決算、上場株の不当な売買、そして中小企業に対する不信感。
売上至上主義の会社は、資産価値の下落と売上の下落によって壊滅的なダメージを負っています。
では、これからの経営マインドはどうあるべきなのか?また、社内の営業マインドはどのような変化をしていくべきなのでしょうか?
それが、「質の経営の時代」の到来と思っているのです。
社会と企業の関係が見直される時代。
顧客のメリットを考える、従業員のやりがいや気持ちを考える、企業と関わりのある様々な人々のことを考える。
そのような企業こそが生き残って行く。
自分だけが良ければ、もうければ良い。という価値観は支持されなくなるのではないかと。
そんなことを考えていたら、先日経営者勉強会で、そのような価値観で経営をされている、ある企業の話が何度か出て行きました。
長野県にある「伊那食品工業株式会社」。
私は知らなかったのですが、経営者の先輩方の中では有名な会社で、皆さん工場見学をされているそうです。
顧客満足だけでなく従業員満足度も高い会社。
たまたまですが、日曜日の日経新聞の一面の下「春秋」という欄で紹介されていました。
その企業がなぜそれほどに評価されているのか、後日詳細をお話したいと思いますが、企業は人なりを実践している企業であるということです。
とりあえず、今回のテーマはあまりにも書くことが多すぎるので、何回かに分けて続けていきたいと思います。
次回、これから求められる経営について、私なりの考えを書いてみたいと思います。