前回、「質の経営の時代」が到来する、ということを書きましたが、その前に「質の経済」について。
質の経営の時代になるには、質の経済的考え方が背景になければならないわけで。
質の経済って、なんでしょう?
私の勝手な定義付けですが、「クオリティ オブ ライフ(Quality Of Life 略QOL)」な経済活動を考えています。
元々は医療業界で使用されていた言葉です。患者さんの生活の質について考える尺度として使用されていました。
私としては、この「QOL」が経済活動にも活かせるのではないかと思うのです。
もちろん、ちょっと概念を変えなければなりませんが。
そこで、ここでは、QOLを「消費者の生活の質をより高める」ための経済活動と定義したいと思います。
具体的に言いますと。
以前から書いていますように、アメリカ市場の本格的回復はまだ期待できません。
アジアマーケットは少しずつ回復、そして拡大していますが、アメリカ市場をカバーできるほどの規模は期待できないでしょう。
となれば、国内市場[内需拡大]に期待するしかありません。
とはいえ、日本市場に必要なものはほぼ出そろっていて、最近では980円のジーパンが登場するようなデフレ状態。安ければ買うんでしょ!という意図が見え見え!
ちなみに、デフレ状態で物が売れても、内需拡大のメリットは少ないのです。
既存の商品の価格を下げて販売すればメーカーの利益が減るばかりではなく、労働力の安価な海外の工場に製造拠点を変えることになるので雇用の安定にも所得の上昇にも寄与しません。
こんな状態で内需拡大は期待できないのでは?
内需の本格的な回復には、安定した雇用と新たな需要[みんなが喜んでお金を出す生産物やサービス]が必要です。
そこで「QOL」の登場です。
人々の生活の質をより高めるための市場創造。それによって産業を生み、雇用を安定させる。
マネー資本主義、個人主義的な社会環境が壊してしまった、人々の「感情や感性」を刺激するマーケットを創造し、国内市場を刺激する。
喜びの感情や満足感や充実感といった「ポジティブな感情や感性」を刺激することで、マーケットを作るのです。
ちょっとワクワクしませんか?
そんな夢みたいな理想論ができるのかい?という疑問もおありかもしれませんが、日本では以前にもそのようなマーケットを作った経験があるのです。
皆さんもご存知の「ウオークマン」ってまさにそれじゃないですか?
「ウオークマン」は音楽を持ち歩く、という新たな文化の創造と同時に、音楽市場に多大なる影響を与えました。
レコードやCDの販売数を爆発的に増やすだけでなく、歩きながら聞いて気持ちの良い音楽を作る作曲者や作詞家を生み出しました。アーティストも生み出したわけです。
現在では、携帯音楽は「ipod」という形になってapple社が爆発的に販売していますが、元々「ウオークマン」がなかったら存在していなかったわけですよね。
製造業だけではなく、サービス業にもありますよね、「おもてなしの心」。
多少金額が高くても満足感や充実感を得るために、わざわざそのお店に出かける。そんなことってあるじゃないですか。
それですよ、まさに!
そんなわけで、日本には「ポジティブな感性を刺激する」マーケットを創造する素地はあるのです。
あとは、誰がそれをやるのか?ですよね。
大手企業にそれをやる力があるのでしょうか?
かつて、ソニーがウオークマンを作り出したように、またソニーやパナソニックが新たな感性を刺激する商品を創造できるのでしょうか?できれば理想的なのですが・・・。
両社は今期3月の決算予測でも赤字の予測、人件費の削減を中心とする販管費の削減で赤字を減らしている状況です、まだちょっと厳しいのかもしれませんね。
それに、上場企業ですから株主がそのような新たな価値創造に理解を示すか、甚だ不安ではあります・・・。
「質の経済」を造り出すのは、経営の自由が利く中小企業の方が向いているのかもしれません。
ということで、またまた長くなってしまったので、この続きは次回にまた!
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