もはや死語かもしれないけど、「やりがい」ってなんだろう?
20数年前、某リクルート社のCMでは、ビジネスマンの背中に貝を付けてたけどね(バブル世代にはわかるはず!)。
やりがいのある仕事という。
どんな仕事を指すのだろうか?
自分が満足する、周囲の人に認められる、成果が目に見える、etc
そういうことなんだろうね。
しかし、このやりがいというのは、立場によっては随分と変わってくるようである。
前回、経営者の決断についての話しを書いた。
書いたあとにもいろいろと考えた。
創業経営者と2代、3代と承継している経営者とでは、そのやりがいというものの価値観が随分と違うのではないかと。
継承経営者にとっては、代々続く家業を自分の代で衰退するようなことがあってはいけない。
そのためには、順調に事業が進むことが最重要で、「今」を守ることにやりがいを感じるのかもしれない。
だからなのか、自分の周りの承継されている経営者の方は、非常に人間的に穏やかで、懐が深いという印象を持つ。
ちなみに前回ご登場の「Sさん」は承継されている経営者ですが、人間的にも魅力的でアグレッシブな方です。だからすごいんですけどね。
一方で、ベンチャー系の経営者は、年齢の割りに血気盛んで、アグレッシブな印象が強い。
守るべき伝統もなく、自分で築いたという自負もある。失うものはない。
彼らのやりがいは、現状の変革であり、事業の拡大、売上向上にあると思う。
そんなこと言ってる自分はどうなんだ?
確かに、創業経営者であり、アグレッシブな思考も持っている。
しかし、経営手法は自分で言うのもなんだが、結構コンサバティブである。
目先の利益で動く事はまずない。
周りからは「もったいない」「消極的すぎない?」なんて言われたりする。
慎重なのは自分の性格なんだろうな、と今まで思っていたが、最近はちょっと違う思いが出てきた。
自分は経営者の家庭で育ってきた。
他人に言えないような苦労もそれなりにしてきた。
そんな生活の中で親父やお袋に言われ続けてきた事がある。
「目先の利益を追うな」「活きた金を使え」「周囲の人を大切にしろ」
この言葉は、今では自分の思考となっている。
幼い頃からの刷り込みだったのかもしれない。
事業は承継していないけど、経営マインドは承継したのかなぁ。
慎重な経営手法は、親からの承継であるとすれば合点もいく。
そんな自分にとっての「やりがい」とは何であろうか?
それは、周囲から認められて自己の成長を感じられる事である。
新しいビジネスの可能性が出てきた!暖めてきた商品の価値を認めてもらえるようになった!
そんな時にやりがいを感じる。
もちろん、メンバーの成長もやりがいではある。
しかし、未だに一人のビジネスマンとして、成長していきたい気持ちがある。
単純に売上が上がることにやりがいを感じているのではない。
「仕事」自体にやりがいを感じているのだ。
仕事を通して、周囲の人と協調したり、お客さんが喜んでくれる姿を見る事。
結果として、自分も会社も成長できる、そこにやりがいを感じる。
ビジネスマンのやりがいとは本来そんなところにあるのかもしれない。
どんな職種であれ、自分のやってきた仕事が評価され成果として認められれば、「やりがい」を感じるものである。
皆「やりがい」を感じられる仕事をしているだろうか?
今一度、この尺度で見直してみるのはいかがだろう?
売上や給与、労働時間だけで仕事を語るのはちょっと寂しいよね。