今、海外からの評価が微妙になっている。
震災当初は、日本人の高いモラルに賞賛の声が世界中から寄せられた。
誰に指導されるわけでもないのに、大きな混乱もなく、粛々と災害と向き合う日本人の姿は神々しくもあったろう。
誰かに指示されたり、命令されて行っていた訳ではない。
それは、日本人としての誇りであり、民族のDNAなのかもしれない。
ところが最近、ちょっと評価に変化が出て来た。
原発事故に対する政府や東電の対応への疑問。そして、いわゆる「自粛」に対する違和感。
悲しみを共有し、喪に服することは、どこの国でも行われることだが、ここまで長い期間と広がりを持って「自粛」を行っている国は珍しい、らしい。
それらの違和感が序所に日本経済に反映をし始めた。
円安と株安の同時進行である。
外需に頼る日本の経済構造では、円安は輸出企業の業績を底上げし、結果的に企業の株価を上げていくのが今までの常識と言えた。
しかし、震災後からこの常識が崩れてきた。
震災直後、円相場は急騰し、一時76円代にまで登った。
日本企業の海外資産売却を見越した投機的な売買ではあったが、同時に株価も大きく下がった。
その後、G8の協調介入で円相場は反転に、円安に。
その後、円はジワジワと下がり続けて、現在は85円代まで下がっている。
こうなれば、株価も震災前くらいに戻しても良いはずだが、戻らない。
未だに1万円を超えずに9000円台に留まっている、震災前よりも円安なのにだ。
これは、外国人投資家が日本の株を積極的に買っていないということにつながる。
外国から感じる日本企業に対する不安感、日本の復興力に対する不安感と言っても良い。
日本企業はこのままの状況では復興に相当の時間がかかるのではないだろうか?
日本経済の復興にはまだまだ時間がかかるのではないか、との疑念が海外の投資家から起こっているような気がする。
国内の景況感も大きな変化が来ている。
震災前、景気は回復基調で大手企業を中心に設備投資も採用も前向きだった。
しかし、震災後は大手中小企業ともに先行きに不安感を抱き、景気は悪化の予測が示されている。
震災後の自粛が完全に日本経済を萎縮させている。
国内外に日本経済に対する不安感を抱かせ、日本企業の業績に懐疑的になっている。
さらに言えば経済だけにとどまらず、日本という国に対する不安が高まっていると言えるのではなかろうか?
本来であれば、こんな時に政治のリーダーシップで内外にキチンと説明を行い、安心感を与える必要があるが、今の政治にそれは期待できそうにない。
政治のリーダーシップに期待できないのであれば、国民それぞれが、国内外に安心感を与えるような行動を取らなければならないと思う。
以前と変わらない、もしくはそれ以上の意欲を持って経済活動を行い「さすがは日本企業!」という実力を見せる必要がある。
聞くところでは、自動車メーカーでは部品不足を補う為に競合企業が合同で生産調整をしたり、部品の共有化に動いているらしい。
夏に予想されている大規模な電力不足も業界毎に様々な工夫を行い、乗り切る事を検討しているらしい。
「困ったことがあれば、日頃の競合関係にかかわらずに協力する」これも日本国民の美徳の一つではなかろうか。
大手ばかりではない、我々中小企業だって何かができるはず。
前例にとらわれず、自らが良いと思うことを行動に移すこと。それが今の我々に求められていることではなかろうか?
何かの行動を興すと、「売名行為だ」「混乱を招く」「今やる必要がない」などと騒ぐ世間もある。
しかし、何もやらずに評論しているよりも、まずは行動する方がよっぽどマシだと思うがいかがであろうか?
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