今週の木曜日の出勤。
朝9時半。東京にやっとやってきた落葉の上を歩きながら環七沿い高円寺行きのバス停に向う。
この時間、タイミングが悪いとなかなかバスが来ない。
今日もそのパターンのようだ。
バスがやってくる方向を何気なく見ていると、警察官が2人、自転車で環七の歩道を渡る。
と次の瞬間、警察官2人が自転車を降り、慌てて今渡った歩道に向って走り始めた。
見ると、歩道の中間辺りで足の不自由なお爺さんが一生懸命歩いている。
歩道の信号はすでに点滅をしており、お爺さんの足では渡りきれそうにない。
それがわかって警察官は急いでお爺さんの元に走り寄ったのだ。
その様子を見ていた。
一人の警察官は、一生懸命渡ろうとするお爺さんをいたわって声をかけているようだ。
もう一人の警察官は警棒を使って、すでに信号が青に変わっている車の列に合図をしている。
その姿がちょっと素敵なんだ。
警察官が車の列に向って“お辞儀”をしているのだ。
お爺さんが渡り終わるまで待ってってくださいね、と言わんばかりにお辞儀をしている。
お爺さんはなんとか渡りきって、恐縮しながらお礼をしていた。
二人の警察官は何も無かったように自転車に乗って、我々が待っているバス停を通り越して先の交番に向った。
自分は妙に嬉しくなり二人の警察官が通り過ぎる際にちょっと会釈をした。
隣で一緒にバスを待っていたオバサマもその様子を見ていたらしく、警察官に向って微笑んでいた。
この警察官の行動は当たり前の事だと思うだろうか?
この警察官は交通整理よろしく、警棒と笛を使って強制的に車を止める事もできた。
高圧的に、職務を全うするごとく。
しかし、彼らはそれをしなかった。
もしも国家権力よろしく青信号の車を止めてお爺さんを誘導したら、誰も気持のよい思いをしなかったんじゃないかな。
止められた車も「ち、なんだよ」と思うかもしれないし、お爺さんはとても気まずい思いになったかもしれない。
そうさせなかった二人の警察官の「心遣い」に感激した、隣のオバサマもそうだったのだろう。
朝からちょっと幸せな気持になった。
「心遣い」の話をもう一つ。
先週火曜日の夜に馴染みのお寿司屋さん(※)で食事会があった。
この食事会、以前から決まっていた社外の方々との楽しみな会だ。
しかし、前日急な飲み会があって、図らずも飲み過ぎてしまった。
とくに2件目の沖縄料理屋さんで飲んだ泡盛のロックが効いている。
二日酔いが夕方になってもすっきりしない。
そんな状況で食事会が始る。
向い酒よろしくビールから飲み始めるが、やはり本調子ではない。
寿司屋の馴染みの大将に「今日、実は二日酔いでさぁ」と何気なく話しをする。
会も終盤になり、“握り”の出番だ。
今日も相変わらずうまい。
通常はここで料理は終了、お茶が出てきて軽くデザート。
しかし、この日は違った。
“握り”の後に「スッポンのお吸い物」が出てきた。
なぜ?と一瞬思ったが、黙っていただく、うまい!
おかげで、胃もすっきり!翌日も全く残らず快適!
翌日になって考えてみると自分が大将に二日酔いの話をしたからだと気がつく。
そう、大将は自分が二日酔いである事を聞いて、スッポンのお吸い物をわざわざ作ってくれたのだ。
これが「心遣い」だよね、嬉しいよね。
日本の心だよなぁ。
最近ではこの心遣いの事を「ホスピタリティ」とも呼び、日本が世界に誇れる文化と言われている。
確かに日本人には本来そのような心があると思う。
大切にしたいね、そういうところ。
景気が良ければ横柄になるし、景気が悪くなれば殺伐とする、心。
どんな状況でも周りに思いやりのある行動を取ることができる、そんな大人でありたいね。
今日はこの冬一番に冷え込んだ一日だった。
凍える夜に温かい話も良いでしょ?
※馴染みのお寿司屋さんとは紀尾井町ビルの1階にある「寿司処 田」大将が気さくでとってもおいしい!
コメント