毎週のことだが、先週も良く飲んだ。
毎日飲み会がある。
忘年会の練習帰りだったり、勉強会の2次会だったり、忘年会だったり、後輩との再会だったり。
まぁしかし、良くもこう毎日イベントがあるものだ(自分で仕込んでいるものも多いが)。
そんな飲み会の中でもいろいろとひらめきがあったり、気づきがあったり、結構な収穫もある。
水曜日、毎月恒例の経営者勉強会「巣立会」。
会計についてゲーム感覚で学ぶという画期的な試み。
楽しみました!そして理解もできました。
感謝です。
それも素晴らし体験ではあったが、「目から鱗」の体験は2次会で。
勉強会の2次会は近くのイタリアン。
今日はたまたま山口義行先生の正面に着座。
先生は翌日早朝からラジオの生放送、4時半起床なのでサクッと飲んで帰りたいとの事。
ならばということで、焼酎のお湯割りで早めに酔っぱらい作戦。
じょじょに酔いがまわってきたところで、さて先生へのツッコミタイム!
「先生、9月のテレビ(BS11)での3Dプリンター、面白かったですね!」
先生の番組『中小企業新聞』で9月放送で取り上げた「3Dプリンターが日本の中小企業製造業の脅威になる」というテーマについてツッコンでみる。
「あれね!若社長3人は脅威にはならないと余裕だったけど、将来的にはわからないよ!」
そう、番組では3人の製造業社長が登場し『脅威になるとは感じない、むしろ利用の仕方で市場は広がる、我々には機械だけでは表現できないノウハウがある』という論調で先生の主張を退けた。
番組内では結局双方の意見が平行線で終始し、結論は出なかった。
自分には双方のやり取りが面白く、裏話を聞いて見たかった。
「両者とも白熱の議論で面白かったですよ、視聴者としては」
「そうかな?まぁ、あのような議論を日常行なう事で新たな価値観が生まれれば良いのですよ」
ーキター!先生は酔いがまわってくると、“ですよ!”口調になるんだよなぁ、これからが本音だぞ!ー
「鈴木さん(先生は自分の事をこう呼ぶ)、ヘーゲルって知ってる?」
ー・・・ヘーゲル?ヘーゼル?(それはナッツ!)・・・ー
「すいません、勉強不足で」
「そうでしょうね、マルクスの先生ですよ」
ームッ!まぁその通りです、知らないわなぁ、大学で勉強してないしー
「私がマルクスが好きな事は以前お話しましたよね?マルクスを学ぶうちにその先生に興味を持つようになりましてね」
ーはぁ、確かに以前先生はマルクスの資本論が面白くて仕方がないとおっしゃっていましたー
「それがヘーゲルなんですよ」
「そうなんですか・・・」
「ヘーゲルの“弁証法”に“螺旋的発展”というのがあるのです」
「はぁ・・・」
「例えば、鈴木さんと私がある事柄で議論するとしますよね?ある事柄はAが正しいと結論されていても、本当にこの結論はAが正しいか、もしかしたらBの方が正しいかかもしれないとやり合う。その議論の結果やっぱりAが正しかったね、という結論が出たとしても、そのAは以前のAとは違う発展した地点に存在するAである、という考え方です」
「なるほど、3Dプリンターの効用もそうであると・・・」
「発展というのは左から右に無限に上がって行くものではなく、螺旋状に上位に上がって行くという考え方ですね」
「螺旋ですか・・・」
こうなってくると、先生は止まらない。
「ヘーゲルの“弁証法”ではこんな事も言っています。“質量変化の法則”です」
「・・・?」
「ある物体のある量が限界点に達すると質が変化するという法則です」
ー・・・?・・・ー
「例えば、水の温度が限界を越えるほど高くなるとどうなります?水蒸気になりますよね?液体が気体に変わりました。逆に低くなるとどうなります?氷になりますよね?液体が個体になりました」
ー・・・ん?・・・ー
「液体の時にはコップに入れて持ち運べます。しかし気体はコップに入りません、氷も大きさによってはコップに入りません。つまり“質”が変わると扱い方のルールが変わるという法則なのです」
ー・・・ムムム?・・・ー
「この事は物体だけの話ではありません、経済や自然科学全般に適用されると“弁証法”では言っています」
ー・・・!・・・ー
「先生!それだ!今世の中で起こっている事はそれですよ!先生!」
「そ、そうですか?何かに気づきましたか?」
「そうなんですよ、先生!最近自分がモヤッと感じている事の答えが発見できました」
先生のキョトン顔を見ながら、我ながらとんでもない事を見つけてしまったと感じた。
量の限界が質を変える、それは物体だけではなく見えないものも。
見えないもの、そう“情報”もそうだ。
最近某大手検索サイト(YHOO!だよ!)が掲載料を無料にして情報量を最大化させることを狙っている。
掲載料を無料にして広告料で売上を上げようとしている。
いわば、情報(量)の最大化でビジネスのルール(質)を変えようとしている。
人の心もそうだ。
商品に対する”満足“の量が限界点を越えると、違うサービス(質)を提供する必要が発生する。
今身近に起こっている様々な変化が“弁証法”によって説明がつく気がした。
山口先生は自分が興奮しながら何かに気づいた事を満足げに見ながら「明日が早いんで!」と焼酎お湯割り2杯で退散された。
自分はと言えば、2次会終了後、さっさと帰宅。
ワインで酔っぱらった頭でパソコンを起動、ヘーゲルと弁証法を調べる。
哲学者ヘーゲルさんは1770年から1831年まで生きられた方。
お弟子さんにマルクスがいる!すごい人なんだね。
約200年前にこんな事を考えていたとは。
弁証法はいろいろな人が研究していて、現在も研究家がいるようだね。
弁証法の詳細について語る事はスペースの問題があるのでやめておくね!(惜しいな!)
毎日飲んでると、こういった予想できない出会いもあるからやめられない。
特に山口先生が酔うと違うスイッチが入って面白いんだよなぁ。
先生、また今度”ヘーゲル“の面白い話聞かせてくださいね!
両先生、ご享受ありがとうございました!