先週金曜日、次回配信のネットラジオの収録があった。
今回、実は気合いの入ったゲストを呼んでいた。
「この日しか日本にいない!」ということで配信直前の金曜日の収録にしたのだが、そのゲストがなんとドタキャン!
身内にトラブルがあったそうなので、まあ仕方が無い。
さて、急遽収録内容を考えなければならない。
新たなゲストを呼ぶには時間がなさ過ぎる。
結局コーナー企画「注目のワード解説」の拡大版でやろうということに。
どんなワードを選ぼうかと悩んだあげく出てきたのが「有効求人倍率」と「マイルドヤンキー」
「マイルドヤンキー」についてはラジオで詳しく語っているので、是非お聞きいただきたい。
問題は「有効求人倍率」なのだ。
「有効求人倍率」については、昨今1倍を越えてきて景気が好転してきた証のようにマスコミが報道している。
今年6月の新規求人倍率は1.67倍と言われている。
しかし厚生労働省が発表した資料をしっかりと見てみると求人倍率が1倍を越えているのは「非正規雇用」の労働者であり、いわゆる「正社員」についての求人倍率は0.68倍と1倍を越えていない。
といことで「労働環境における景気回復は実際はどうなの?」というテーマで進めてみようと思った。
ところがだ。
収録直前にアシスタントの永吉氏と打ち合わせをしたところ「でも、私ら世代にとっては求人倍率がどうのと言われても全くイメージ湧かない」と言われる。
「ん、でも求人倍率が上がって失業率も下がって景気が上向いているかなって思ったりしない?」
「うーん、ていうか景気が良いという事が理解できない。景気が良いとどうなるわけ?なにが変わるの?」
「えー、だって景気良くなって暮らしも良くなって・・・」
「だって私たちの知っている世の中はずっと景気が悪かったんだよ、何を期待すれば良いの?」
そう言われて考えてしまった。
彼女が生まれたのは1985年。
小学校に入学する頃の1992年頃はバブルが崩壊し有効求人倍率も1倍を切り、世の中は不景気モード一色。
それから10年以上、日本は景気低迷の時代が続く。
2005年頃からわずかながら景気回復の兆しが見え始め、求人倍率が再び1倍を越えたのは2006年頃。
しかし、このわずかな兆しも08年のリーマンショックによって完全に飛んでしまう。
我々世代にしてみれば「なんだよ!やっと戻ると思ったのに」という気持ちだったのが彼女達世代にしてみると「やっぱりね!こんなものでしょ」という思いだったらしいのだ。
彼女達にとって「不景気」が当たり前で「好景気」などというのはおとぎ話のようなもの。
物心がつく小学生の頃から大人になるまで一度も景気の良い状態を知らないという世代と我々とでは感覚が違いすぎる。
我々世代(昭和40年代生まれ)が物心つく頃の日本は高度成長期。
今日よりも明日の方が良くなるのが当たり前。
日本の人口も右肩上がりで将来は人口過多になるという世論まであった。
同級生も多く「マンモス校」が各地に発生、競争社会、他人よりも目立ってなんぼ!
就職の時期になると求人倍率も高く新卒の就職について困る事はなかった。
大人になるまで好景気しか体験していないのだ。
そして、今。
求人倍率が上がって好景気になって来る!と言われると我々世代は「やっと我々の若い頃の状況に戻るのかな」と期待するが、彼女達世代は「だからなに?」とかなり冷めて見ているのだ。
打ち合わせをしているうちに「これを話した方が面白いだろうな」と思い、収録10分前に内容を変更。
物の見方にここまでギャップがあるという事を伝えたかった。
ラジオ本編で彼女が発言したことは象徴的だ「景気が良いっていうのは、いつも買う物が安く手に入ったりすることなんでしょ?」
それはデフレだ。好景気になるとインフレになる。
彼女達は好景気の世の中で消費者がどのような行動をとるのかを知らない。
実際に好景気になった時にどのような消費行動を起こすのだろうか?
昔と同じように自分に投資したり、贅沢品を身につけたりするのだろうか?
それとも「こんな時代は長く続かない」と冷めた目で見て貯蓄に精を出すだろうか?
ラジオを聞いた人はどのように思うのだろうか?
気になるなぁ・・・。