子どもの頃、家の前は工務店さんだった。
昔の工務店は現場で使う木材を加工する工場が併設。
職人さんがのこぎりを使って木材を切る、カンナで削る、電鋸も出てきて賑やかな音がしていた。
職人さんは皆寡黙で強面の人が多かった。
子どもの自分は好奇心が旺盛で、カンナ屑や木材の切れ端を触りたくてしょうがない。
現場を眺めていると若い職人さんが「ほら、これやるよ!」と言って切れ端を渡してくれたりする。
それが嬉しくて、切れ端を集めて積み木のように遊んでいたのを覚えている。
その頃の職人さんは寡黙だ、大工さんだけではない、父親の工場で働く職人さんも仕事中に私語をするなんて考えられない。
昼と休憩以外話をしているところを見たことがない。
子どもの頃は工場でも工事現場でも自転車屋さんでも「職人さん」が黙々と仕事をしている姿を見て育ってきた。
「大人は仕事するときは喋らないんだなぁ」
社会人になり、いざ仕事に就くと様変わりする。
「報告しなさい」「相談しなさい」「連絡しなさい」
何かと言えば「常に話をするように」とうるさく言われる。
その意味がわからなかった。
「仕事は寡黙にやるものではないのか?」
プロは「話さない」というイメージが強かったので仕事中に話をする必要がわからなかった。
ある程度仕事に慣れてきてやっとわかる。
「我々の仕事は寡黙にやっていてはうまくできない」
周囲を巻き込んで、協力して、状況を把握してこそプロの仕事ができる。
営業職のプロフェッショナルは寡黙では務まらない。
もちろん、どんなに時代が進んでも「職人さん」は必要である。
余計なことは話さず、自らの仕事に誇りを持ち、与えられた任務を着実にこなす。
そんなプロフェッショナルはこれからの時代にも絶対に必要だ。
新たな産業が勃興している現在。
IT化による効率化、スピードが求められる判断、変化する価値。
求められる「クリエイター」
一人ではなし得ないものを人を巻き込んで成し遂げる人。
一見お調子者のようで実は「できるやつ!」
「しょうがねぇ、お前のためならやってやるよ!」と言われる人。
自分の周りの人たちに気を使える人。
実はしっかりと根っこがあるやつ。
そういう「クリエイター」がこれからのビジネスには絶対に必要となる。
クリエイターと職人さんがコラボレーションすれば「無敵」のビジネスが産み出せる。
さて次世代の「クリエイター」さんたちの準備はできてるかな?