人生100年時代、新卒で入社した企業に定年まで居続けるという概念がなくなっていくという。
実際に、転職率は増加の一途、最近では就労1年未満の転職者が増加している。
働く人たちの意識が変化している中、採用する側の意識は果たしてどれほど変わっているのだろうか?
「新卒はポテンシャル採用、中途採用は即戦力採用」との認識はいまだに変わらず。
新卒採用では、自社のカラーに染めて価値観を植え込みポテンシャルを見て育てていく。
見事成功すれば、数年後には「愛社精神にあふれた第一線の戦力」として活躍してくれる。
間違っていない、それは頼もしい存在だ。
中途採用はそれとは違う。
採用基準はスキルや知識、業界経験を優先しがち。
現場に配属して、即力を発揮してもらうことを求められる。
どちらかといえば、足りない力を補充してもらうのが目的。
若年転職者は、スキルも知識も業界経験も足りていない。
彼らの受け皿を企業側は作れているのだろうか?
自分は新卒、中途にかかわらずに採用ではこだわりがある。
「人はパーツではない、不足しているからと言って穴埋めのように採用するのは間違っている」
つまりこういうことだ。
四角の箱の中に6つのブロックが入っている。それらはその箱をちょうど満たすようにピタリとしている。
ある時、その中の一つが壊れてしまった、当然隙間ができる。
その隙間を埋めるためには今までと同じ形のブロックを購入してはめれば、また元のように箱の中を満たすことができる。
それはブロックだからできることだ、人間ではそうはいかない。
人間の形は人それぞれであり、誰一人として同じ形の人はいない、ましてや「思考、スキル、人格、将来像、趣味・・・」などを考えたら誰かの代わりの誰かなど存在するはずがない。
だから、こう考えるようにしている。
組織で人材が不足していると感じた時、まずはその組織自体の規模や仕組みがそれで良かったのかを見直す。
その規模が必要である、もしくは更に大きくする必要を感じた時には採用活動を行う。
採用活動で一番重視するのは、ズバリ「人間性」である。
これはずっと変わらない。
中途採用だからといって「スキル、知識、経験」だけを重視することはあり得ない。
そうして「この人は既存のメンバーと組むことで、良いテームができそうだ」と感じた人を採用する。
新しいメンバーが入ってくれた時にはそれまでの仕事を見直して、場合によっては役割も変えて組織を作っていく。
それぞれの個性がより一層発揮できる組織にするために。
時には数ヶ月で人事異動することもある、それも全く違う部署やチームに。
今まで、この考え方でうまくいっている。
入社時には営業職だった人が今では制作、システム、マーケティング、コーディネーター、・・・と様々な職種に転じて活躍している。
自分に合った職種に転向することは本当の意味の「働き方改革」かもしれない。
それで良いのだ、人間はブロックではない。
足りないパーツを埋めるような採用活動はもう辞めるべきだ。
組織の為にメンバーがいるのではなく、メンバーの能力を活かす為に組織がある。
採用は企業の命運を分ける一大事業なのだ。