コミュニケーション不足。
いろいろなところで組織の問題として話題にのぼる。
自分自身それを問題として捉え、解決策を模索している事も事実。
もしかすると、このテーマは永遠ではないかと思うほど、解決の糸口が見えない。
その根本原因は何か?
「信頼」なんでしょ、たぶん。
人と人が信頼し合うことができなくなっちゃったんだね、今の時代。
なぜ、そうなったか?
お互いが真剣にぶつかり合わないからでしょ。
ぶつかり合う勇気がないんだよね、お互いに。
最近、そういう状況をよく見る気がする。
ということを考えていたらね、昔を思い出した。
今から20年くらい前かな。R社に入社して2年目の秋頃。当時24歳くらいかな。
当時、自分は売れない営業マン。しょうもなかった。
ある日、採用のお手伝いで学生と飲みに行った。
メンバーは、採用担当の後輩と、自分と制作部門担当役員、その他は忘れた。
その役員、R社では超有名な伝説の営業マン。
見た目もかたぎっぽくなく、強面。(O沢さんににてるね!)
自分はその人を恐れていた。怖かったよ、だって、役員だし、見た目怖いし、伝説知ってるし。
その飲み会で、最初は学生のフォローしてたんだと思うけど、途中から酒が入った勢いで自分が役員に絡んでた。
今でも覚えてるけど、自分の同期が営業から制作に異動になったんで、やつをよろしく、みたいな事を言ったんだよね。
考えてみればこんな分不相応な話はない。
入社2年目でたいして売れてない営業の小僧が役員に「やつをよろしく」なんて、どのクチが言うんだよ!だね。
その言葉に役員は「カチン!」と来たろうね。
その後は、「お前はなんぼのもんだ!」的なおしかりをいただいた。
しかし、若い自分は引かないから、さらに食って掛かる。もう、売られたけんかは買うしかないてなもんで、たとえ役員でもね。
そこで、その役員、手にしたビールを自分の頭の上からお流しになられた!
人生24年でそんな経験はなかったので、ビックリしたが、さらに追い打ちで平手をいただいた!(時効だからいいっすよね!)
まぁ、その状態になれば周囲は二人を止めにはいるわな。学生の採用どころではない。
そして、自分は「こんな会社やめてやる!」という捨て台詞を残してその場を去るわけだ。
翌日。自分は当たり前に会社に行く。ちょっと二日酔いだったけど。
すると、席に着くなりマネジャーに呼ばれて会議室。
「お前、昨夜どうした?」
まぁ、どうしたって聞くのもどうかと思うが。
「いや、○○さんにいただきました・・・。」
「で、お前何やった?」
「いや、自分の意見を言っただけです」若い自分は相当にツッパってたね。
まぁ、結局、社内的には何事もなかったことに。当たり前だ。
自分としても、勢い「やめてやる!」とは言ったが、そんなことでやめることなど毛頭考えてもいない。
しかし、この事で大きく変化した事がある。
それは、その役員と本当の信頼関係を築くことができた事。
その夜の事がきっかけで、自分はその役員とは何でも話せる関係になり、部署は違うが、二人でよく飲みに行くようになった。
飲みに行くと、会社のこと、上司のこと、プライベートのことも話した。
その時のその役員の言葉が当時の自分を支えた。
結構、飲むといろんな説教をする人で、名言もいくつかあったなぁ。
「おまえ、24時間仕事のこと考えてるのか?」とか。
「文句ばっか言うやつは仕事しねぇな」とか。
「認められてぇなら、実績をだせよ!」とかね。
話を聞いて説教されているうちに、自分が仕事に対して腰が座っていった気がする。
数年が経ち5年目の春、その役員の管轄部署に異動になった。
うれしかった、いろんな意味で。自分が認められた気がしたね。
同じ部署の時代にはいろんな提案をしたし、同行もたくさんしてもらった。
役員の考え方や営業の手法も学ばせてもらった。そして、自分は彼が喜ぶように実績を上げた。
そして、異動から半年が過ぎたある日。
自分が会社をやめて独立しようと思っている事をその役員に伝えた。
止められるか、とも思ったら「いいんじゃないか、お前にはその方が向いてる」と言われた。
その言葉で自分は独立を決意したと思う。
信頼し、自分を理解している人が自分の決断を支持してくれた。
この事だけで、やっていける自信のようなものをもらった気がする。
自分が退職してから数年後、その役員も会社をやめ、独立。
独立してからは、一緒に仕事をすることも何度かあり、たまに飲みに行ったりした。
その度に、20年前のビール事件の話をすると、「そんなことあったかな・・・」なんてとぼけてみたり。
その役員はMさん。R社では、部下を数千人抱えて、伝説をいくつも産み出した、スケールのでかい人だった。
現在は難易性の病気と戦っており、面会できない。もちろん話もできない。
Mさんに今の自分の事を話たら、なんて言うだろう?
「おまえ、そんなのは、お前がちゃんと相手とぶつかってねぇからだろ!しっかりしろぃ!」
なんて言われそうだね。
結局、相手と本気でぶつかり合わなきゃ本当の信頼なんてできないんだよね。
自分は20代でそのことを身を以て体験しているのに、今は立場に遠慮しててやれてないんじゃないか。
社長だからそんなに立ち入っちゃ行けないんじゃないかってね。勝手に思い込んでいる。
Mさん、ちょっと基本に戻ってみるわ。
でもね、
とりあえず、早く戻ってきてよ。
そして、またあの豪快な笑い声で「おまえ、何も成長してないな!」って説教してよ。
これ以上、大切な人を早くに無くしたくないんだよね。