先月22日にBS11の番組「山口義行の中小企業新聞」に出演した。
「経営の壁」についてゲストとして話をさせてもらった。
今回は「売上の壁」をどう打開したのか、というテーマが中心。
30分の番組ではあれが限界であったと思うが、事前の打ち合わせではもうちょっと広い話だった。
先生から「経営の壁って何?いつ感じる?」というフリをいただいたのは11月の経営者勉強会の際だったと思う。
その時自分が答えたのは「経営の壁とは、“売上”“利益”“市場”にあると思う」と答えた。
日頃思うところを述べたつもりだが、整理してみると。
売上の壁・・・参入時は、既存のビジネスを転換し既存企業からシェアを奪い売上を作る。無限と思えた売上も自社の成長、ビジネスモデルの浸透で売上の上限が見え始める。
利益の壁・・・当初はローコストのビジネスモデルでの事業展開であったが、手法が一般化することで大手が参入、価格競争や原価高騰が起こり、ローコストからハイコストになってくる。
市場の壁・・・既にある市場で狩猟型のビジネスを展開していると、いずれ市場は枯渇していく。
これらの壁を超える為に何を考え、具体的にどのような行動をしたのかという自身の経験談をさせていただいた。
経営者であれば、だいたいこのような壁にはぶち当たり、その度に悩む。
テレビの収録も終わり、改めて「経営の壁の本質とは何か」について気になり始めた。
そもそも、なぜ“壁”を感じるのだろうか?
ここである仮説が生まれた。
そもそも経営者自身が、売上・利益・市場を「成長させたい」意識を持つから壁を感じるのではないか?
だったら成長を意識しなければ“壁”を感じないのではないか?
経営者が自社の成長を諦めれば「経営の壁」はなくなる、というわけだ。
では、成長の意識がなく、新規事業も始めない企業には“壁”はないのであろうか?
いや、現実には成長を意識しなくてもやらなければならない事情が発生する。
それは、利益を「確保」することだ。
競合に合わせて価格を下げなければならない、仕入れコストは上がる、社員の給料も上げていかなければならない。
黙っていても売上が下がり、原価と販管費は上がっていくのだ。
だから利益(粗利益)を確保しなければならない、生き残る為に「売上」を上げなければならない。
その為にも市場を開拓する必要がある。
成長の為に壁を超えるばかりではなく「必要にかられて」壁を越えなければならない企業も多い。
成長を意識して壁を超えるのと、必要にかられて壁を超えるのでは経営者のモチベーションも随分と違う。
更に考えを深めてみた。
経営者ではなく、通常の社員に置き換えたらどうだろうか?
自らの成長を意識していれば常に“壁”を超えなければならない。
生活に危機を感じればやはり“壁”を超えなければならない。
そういう人達は、自身で壁を越えるべく努力もするし、自分の力の無さにもがく。
しかし、成長も意識せず生活の危機感もなければ“壁”を超える必要が無い。
日々の業務をそればりにこなして、平穏な毎日を送り、給料も増やす必要が無いと考ている人達はいる。
とってもうらやましい生き方だと思う。
社会にはいろいろな思いで働いている人がいるのだから、それぞれの価値観で生きれば良い。
しかし、前述したように現代社会の経営者はそれでは勤まらない。
社員を維持、事業を維持するだけでも社会の変化に合わせて自己改革(越えなければならない壁を越える)をしなければならない。
さらに成長しようと思えば他社の何倍も努力(いくつもの高い壁を超える)をしなければならない。
結局、企業がどれだけ成長するかは、経営者がどれだけ高い壁を越える「覚悟」があるかだ。
そのためにも経営者は自社の事を的確に知り、強みを高め弱みを補填していかなければならない。
今週の全社研修の事を考えていたら、思わずこんな結論になってしまった。
結局、真の壁は自分の中にあるって事ですかね?
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