先日のワールドカップ予選。
日本中が観戦していたんでしょうね。
自分は六本木で飲んでたけど。
ドキドキの試合展開は帰宅した後に見た「すぽると」が教えてくれた。
翌日のスポーツニュースだったかな、本田選手のコメントが素敵だったな。
代表選手それぞれの活躍にコメントした後に発した言葉。
『「個」の力が大切』
本田選手だからこそ伝わる言葉だなぁ。
周囲を気遣う、チームを意識する人だからこそ、厳しい言葉でも嫌みでなく伝わる。
どう伝えるかよりも誰が伝えるのか、が大事なのかな。
R時代に、一時期自分のマネジャーだったHさん。
決してバリバリの“できる”営業マネジャーではなかったが、メンバーの事を真剣に考えてくれるマネジャー。
Hさんの営業マン時代、自分は別部署で現場で活躍する姿を見ていない。
だから、ちょっとなめていた。
新任マネジャーとして一生懸命やられていて、しごくまともな話をされる方だった。
当時チーフだった自分に対して「メンバーにもっと働きかけろ」とか「自分のことだけになるな」と常にご忠言いただいた。
そのときの表情が何とも言えなくて「みのるさぁ・・・」という、ちょっと困った顔から出てくるお小言には内心「はいはい、また始った・・・」なんて思っていた。
自分以外のメンバーにもしっかり向き合ってくれていた。
ちょっと行き詰まった新人にも懇切丁寧に相談にのってくれていて、チーフである自分がメンバーの相談にのる場面など必要なかった。
まぁ仕事のできるマネジャーというよりも、面倒見の良いマネジャーという印象だったHさん。
そんなHさんに対する見方が変わる事件があった。
自分が取ってきたイレギュラーな仕事。
自分が勝手にお客さんと話を進めてしまい、他部署にも役員にもお伺いをたてていなかった仕事。
とりあえず受注内容を申込書に記載して、Hマネジャーに提出。
報告も受けていない仕事、金額も桁違いの大きさ、今考えれば本当にふざけた営業マンである。
「みのる・・・、これなに?」
いつものお小言よりも、やや緊張感のある呼びかけだ。
「いや、お客さんがやりたいって言う事なので受注しました!」
まったく悪びれず、むしろ売上数字の大きさを誇りながら言い放った。
「おまえさぁ、こんな話聞いてないよ。制作には相談したのか?」
「いや、してませんよ。まだ決まるかわからなかったんで・・・」
確かに相談はしていない、基本的に制作と打ち合わせるとか得意じゃないし。
「ちょっと来い!」
そう言われるや、営業部長のNさんの元へ連れていかれる。
「Nさん、すいません、みのるがちょっとイレギュラーな仕事を取ってきまして・・・」
Hさんが受注内容を簡潔にN部長に報告。
「H、これはまずいんじゃないの?こんなことできるの?制作はなんて言ってるの?」
まぁNさんはそう言うわな、保守派で新しい取組みには消極的な人だしね。
「制作にはこれから話します。それととりあえずEさん(社長ね!)にも報告した方が良いですよね?」
「そりゃそうだろう、話しておかないとやばいよ、これは。俺は難しいと思うけどね」
ってなわけで、今度は制作部のフロアーへ連れていかれる。
「Iさん(制作の次長ね)、みのるがこんな仕事を受注しまして・・・」
残念ながら、自分はこのIさんとは相性が悪い。
当然のことながら・・・
「H、これは難しいよ、うちのプロデューサーではできないんじゃないの?」
やっぱりね、そりゃそう言うわな・・・。
「そうですか・・・、とりあえずEさんと相談して見ます」
はいはい、それで社長室へ。
「すいません、Eさん。みのるが・・・」
わかったよ、またかよ。
「H、これは難しいんじゃないか。現場がやるって言うのか?」
「そうですよね、Iさんには難しいって言われました・・・」
おいおい、せっかくお客さんがやるって言って何千万円も出すって言ってるのに断るのかよ!
「失礼します!」
左手に自分の書いた企画書を持ちながら、社長室を出るHさんと自分。
なんだかなぁ、仕方ない断るのか?この仕事。
「みのる、ちょっと来い」
へいへい、今度はどこですか?
すると、役員室へ。
Hさん、Mさんを呼び出し、会議室へ連れていく。
「Mさん、すいません。みのるが・・・」
自分の企画書を広げながら、Hさんが一生懸命にプレゼンする。
「H、おまえこの企画みのる一人で出来ると思うか?」
Mさんが渋い顔でHさんに問う。
「いえ、思いません」
間髪なさすぎだろ!確かにそうだろうけど・・・
「お前、責任もってフォローできるか?」
すると、意外にも
「はい、責任もってやらせていただきます」
わお、Hマネジャーカッコいい。
Hさんの素敵物語になってないか?自分の話なんだけどなぁ。
それにしてもHさんのこのタンカのおかげで、自分が勝手にすすめた企画は実行する事になり、Hさんと自分は夜通し前例の無い仕事に取り組むことになる。
それ以来、自分はHさんのお小言を素直に聞くようになった。
もっと言うと、心から彼の言葉を感じることができるようになった。
それでも一緒に仕事をすると、時には感情的にぶつかることもある。
お互いに机を叩き合いながら怒鳴り合った事もある。
仕事でこんなに感情をあらわにする事があるのか、というくらいにぶつけた。
でもそれはお互いに信頼しているからこそ。
「この人には何を話してもわかってもらえる」っていう安心感がそうさせる。
いろいろなマネジャーと仕事をしたが、そんな人はHさんだけだった。
余談だけど、企画書の書き方もHさんに教わった。
部長や制作や社長に持参した自分の企画書があまりにも稚拙だった事が気になったのか、それ以降企画書の書き方についてうるさくなった。
先日、15年以上振りに会ったときに言われた。
「みのるはねぇ、企画書書くの好きだったけど、下手だったんだよねぇ」
その通りだけに悔しい・・・。
それでも、その後一生懸命勉強して上手になりましたよ!Hさん。
現在Hさんはご自身で会社を起業されて順調に成長されているそうです。
同じ言葉でも、自分が信頼している人に言われると妙に伝わるよね。
役割意識だけで言われたり、自己防衛の為に言われる言葉って妙に空々しい。