目標管理と言えば「ドラッガー」というくらいに、今ではメジャーになったけど。
社会人になってすぐに”管理”されたのは「売上目標」だった。
当時のR社は目標管理によってほぼ全てのメンバーの行動が管理されていた。
営業職だったので「売上目標」が入社1ヶ月目からあった。
アポイントも満足に撮ることができない新人営業マンに1ヶ月の売上目標500万円を設定する。
「むちゃくちゃ」な目標である。
しかし、当時のR社の目標設定の考え方はそんな感じだった。
売上目標は達成し続けると無限に上がっていく。
個人に目標を設定してそれを達成させることがマネジャーのタスク。
ちなみにドラッガーさんは目標管理には「メンバーとの合意」が大切であると言っている。
合意して動機づけされたからこそ、メンバーが自律的に仕事に取り組むのだとドラッガーさんは言ってる。
入社して早々に合意したり動機づけされるわけもないので、単なる人事評価のための目標であることは否めない。
それでも5年以上もそんな世界にいると段々と慣れてくるというか、こなれていくもので。
中堅営業マンで1ヶ月の目標額が◯千万円を超えると「普通にやってては達成できないな、こりゃ」
などという変な開き直りが出てきて。
「なんかでかい仕掛けしておくかな」
てな感じで、大型企画を立ててお客さんにプレゼンしまくる。
今考えるとなんともバブった発想である。
もちろん、企画が決まることの楽しさも味わったし、外した時の脱力感も味わった。
大物が決まれば月の目標は余裕で達成できるし、外せば「オケラ」だ。
それはそれで楽しかったが、本来の目標管理の考え方とは大きく離れている。
当時のマネジメントではそれらを咎めるどころか「売上目標を達成するかしないか」で評価をされた。
目標設定の際に上司に文句を言う「面倒臭い奴」になれば「売上目標」はあまり上がらない。
自分はゴネるのが面倒臭いので「そんな感じで良いですよ」などと安請け合いするので部門で余った数字が「ガツン」と乗ってくる。
当然目標達成は難しくなる。
そこで、先ほどの「一か八か」のギャンブルに出るわけだ。
数字の目標管理というのは難しい。
「面倒臭い奴」には数字を多く持たせられないから「ほどほど」の数字を持たせる。
「面倒臭い奴」としては、数字を達成すれば評価されることを知っているから達成可能な、場合によっては自分の力を「ほどほど」使えば達成できる目標で収めておきたい。
人事考課や評価が連動しているのだから仕方ない、まぁ当然だな。
そこで「本当の目標」の設定をすれば良いのではないか?というのがテトリス型だ。
例えば、50メートル走のタイムが10秒の小学生がいたとする。
次の記録会では10秒を切るという目標を先生と立てた。
その子は頑張って10秒を切るために練習をするだろう。
しかし「クラスで一番になろう」という目標を先生と立てたとしたら。
10秒というタイムなんてどうってことない。
9秒台の子もいるだろうから、その子に勝つためにどうすれば良いかを考える。
もしかすると、走り方を変えたほうが良いかもしれない。
スタートの仕方やゴールの仕方も。
結果がどうであれ、その子は50メートルを走ることをたくさん考えて、自分と向き合えたとすれば。
走ることが好きになって将来陸上選手になったりするかも。
10秒を切るための練習では味わえなかった「いろいろ」があったはずだ。
先週、社員総会で二つのチームがこの「本当の目標」についてプレゼンテーションを行った。
一つは昨年出来たばかりの「新規事業チーム」
自分たちが目指すべき事業とは何か?
それをメンバーだけで考えて全社に伝えた。
一つは事業の中枢とも言える集客チーム。
「本当に求められているテーマ」についてのプレゼンテーション。
メンバーだけで2ヶ月ガッツリ考えまくった結果を話してくれた。
両チームとも様々な葛藤の中で出した結論なのだろう。
聞いているメンバーにも大いに響いたらしく、様々な感想を耳にした。
結果も成果もこれからだけど、成功しても失敗しても必ず「糧」があるはずだ。
これからの過程も大切にしてほしい。
発表したチームにこれから必要なのは「マネジメント」
50メートル走10秒の子どもに「クラスで一番になろう」と動機づけた先生のように。
動機づけすることも大切だけど、子どもが自律して行動するまでを見守ることが大切。
昔のような「売上目標の管理」だけではマネジメントは機能しない。
ドラッガーさんは何て言うだろう?
「俺は初めからそう言ってるよ!」
それは失礼いたしました。
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