営業マン時代に大変お世話になったIさん、その徹底した「開拓能力」ゆえ、後任の営業マンに「あの人の後にはペンペン草も生えていない」と言わしめたIさんが自身の会社の経営から退くと言う。
社員研修を事業として20年以上、大手企業を中心に凄まじいスピードと行動で実績を積み上げてきたIさん。
ビジネスの一線から退くにあたり「慰労会」のサシ飲み。
少しは落ち込んでいるのかな、と思いながら待つと「遅れて悪いね!」10分遅れで登場。
落ち込むどころかちょっといい色に焼けている。
「なんか顔色いいですね!」
「そうだよ、毎日走ってるもん!」
どうやら海沿いの別荘で走りこんでいるらしい。
かなりリラックスした雰囲気、退任されてからの様子を語り20年間を振り返る。
「結局、人の成長って『どれだけ修羅場をくぐり抜けたか』なんだよな」
教育研修事業の経営者が言ってはいけないような(笑)一言をポツリと。
でも、わかるような気がする。
他人が何を言っても、自分が乗り越えてきた体験には勝てない。
「修羅場」ってのは大げさだけど、言い方変えると「辛酸を舐める」?。
人間生きていれば、一度や二度は「逃げたい」ことや「消えてしまいたい」と思うほどの辛い体験がある。
人の成長とは、その時どうするか?だ。
逃げてしまったり、消えてしまっては人としての成長はない。
どんなに辛いことでも「向き合う、克服する」と成長する。
確かになぁ、昔はそんなことの連続だったもんなぁ。
バブル期後半に社会人デビューした我々は高度成長期の尻尾を体験した世代。
入社してすぐに「スペシャル理不尽営業活動」を体験する。
教わるよりも先輩から盗めと現場に「放り出される」
新人4月なのに容赦なく「売上目標」を与えられる。
アポイントが取れないと容赦なく「ヨミ会」で詰められる。
半年で新入社員の半分が辞める、一年後には四分の三がいなくなる。
これは「辛酸」というよりも「修羅場」だよな、やっぱり。
残業なんて当たり前、仕事終わりの飲み会はいつも23時から。
「どんだけブラックなんだよ!」と今なら訴えられるレベル。
今考えれば去って当たり前だし、正解だよね。
それでもあの『修羅場』を乗り越えたからこそ今があると思える。
「あれ以上のものはないだろう」という思い。
自分が事業を始めてからも様々な「辛酸」はあった。
お金、人、仕事。
経営者などんな修羅場でも辛酸でも逃げてはいけない、逃げたら全てが終わる。
全ての人に迷惑がかかる。
それがわかっているから逃げられない、消えることもできない。
その経営者の責務から解放されたIさん。
さぞやホッとしてるのでしょうね?
後半、かなりお酒が入って言うには「次の準備はいつでもできている」らしい。
やれやれ、やっぱりこの人も「修羅場」の快楽から抜けられない人なんだよなぁ・・・。
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