BS11の番組制作に携わるようになって1年半。
先週木曜日のスタジオ収録時、初めての体験をした。
『コーナー』の撮り直し。
2部制で行っている番組、1部は35分、2部は15分でできている。
その2部の収録終わりでいきなり「今のはダメ!もう一回最初からやらせて!」の声。
声の主は、そう番組ご意見番の山口義行先生その人だ。
伏線はあった、2部の収録中座って見ていた先生「なんかみんな下向いて話してるよ、あれじゃ全然視聴者に伝わらない!」
ご立腹である。
さらに悪いことにエンディング間近でADさんのカウント間違いで先生のコメントが入らない。
当初はエンディング部分だけ再度収録するはずが先生の一言でコーナー丸ごと撮り直し。
この番組の総合プロデューサーは山口先生である。
プロデューサーとして大切にしているところ(この場合は視聴者にきちんと伝わること)がある。
そこができていなければ「やり直し」を辞さない「責任者」としての姿勢、大変勉強になった。
ちなみに撮り直しの結果はどうなったか?
みなさんプロフェッショナル、初回とは比べ物にならないくらいの出来栄え!
撮り直し版がオンエアーされるのでぜひご覧いただきたい。
さて、責任者が大切にしていること。
それを時には声を大にしてでも伝えなければならない。
先週の月曜日に当社で起こったのもそんな事案だった。
月曜の朝、忙しい時間帯にたまたまではあるが「椅子」が納品されたのである。
それも一気に18脚!
メンバーの椅子がくたびれてきたことを聞いていたので、この際一気に古い椅子を取り替えようということで。
古い椅子と新しい椅子の交換作業、それなりに手間である。
昼間であれば、総務メンバー中心に数名が協力すればどうということがない作業だが月曜の朝は総務も忙しい。
案の定、総務経理は月末の朝の作業に追われていた。
そんなタイミングで納品されたものだからたまらない。
気がついた2、3名のメンバーが一生懸命対応している。
他のメンバーは知らんぷり、パソコンに向かって無言である。
その姿を自分は見た。
「なぜ知らんぷりできる?なぜ手伝えないんだ!自分の問題だろ?」
声を荒げた、数年ぶりのことである。
すると全社が一斉に動き出す。
あっという間に18客の椅子の入れ替えは済んだ。
さすがの所業である。
それから3日後、社員総会でこの件について振り返った。
「他人ごと、人ごと、同じように読むが意味が違う」
人として大切にしなければならないこと、困っている人がいたら助けるという気持ち、自分は関係ないとする達観する気持ちで会社にいてほしくない。
他のことではない、人がやってることなんだ、それも同じ会社で同じ目的で生きている。協力し合えないことなんてないはずだ。
自分が総合プロデューサーで、責任者で、思いを伝える必要がある人間であること。
そうであるがゆえに、どこまで伝わるかわからないがどうしても伝えなければならないと思った。
翌日、皆の日報を見るとこの件について数件のコメントが寄せられていた。
ありがたい、全部でなくても良い、少しでも気づいてくれるのであればそれで良い。
さらに変化が起こった。
電話の着信音が鳴らないのだ。
コールが鳴る前に取る、もしくは1コールで取るからほとんど聞こえない。
今まで電話を取ったことがないような人まで取るようになっている。
これがきっかけでお互いが思いやりを持てる会社になったらそれは素晴らしいこと。
大切にしていることはしっかりと伝えなければいけない、たとえそれが厳しい言い方になったとしても。
最近はすっかり穏やかな人の印象が強くなったようだが、たまにはしっかりと伝える必要があると思った。
やっぱり最近ちょっと「日和った」かなと反省してしまう今日この頃。