言葉とは相手に正しく情報を伝えたり、気持ちを伝えるときに使うもの。
太古の時代から今まで様々な変遷はあるにしても「日本語」は守られてきた。
途中で意味が変わったものや新たに生まれた言葉もあるだろう。
昨今の中高生を見るとこれもなかなかのもので。
省略しすぎて何を言っているのかわからない、や本来の意味を変えすぎていて「悪いこと」が「かっこいいこと」になっていたりする。
仲間内だけでの言葉遊びといえばそれまでだが、将来は日本語もまた変わっていくのかもしれない。
日常会話での言葉の変化もさることながら、仕事現場での「言葉」の変化、特に用語の増加は目まぐるしい。
IT業界が生まれた20年前には使われていなかったwebに関わる「用語」の増加ぶりが著しい。
確かに、用語の中には生まれてくれて便利になったものもあるが、ほとんどのものが「?」なのだ。
ROASという用語がある。webマーケティングの世界では「基本のき」みたいな用語である。
しかし一般的には知られていない。
日本語で「広告の費用対効果」と言った方がわかりやすいと思うのだが・・・。
インプレッション課金広告という広告商品があり、この単価の指標はCPMという用語が使われる。
Webマーケティングの関係者と話をすると「ROASを向上させるにはインプレッション広告のCPMは〇〇くらいで考えるべきでは?」などという会話になる。
業界人同士の会話ならこれで成り立つが、ちょっと違う領域の人に話すとなると通用しない。
すなわち、一般の人たちに「情報」として伝えるのであればこんな話し方では伝わらないのだ。
業界だけで通用する言葉、つまり「業界用語」
「業界用語」はどこの世界にもある。
自分が体験してきた世界でも「ミュージシャン用語」「映像制作用語」などなど。
これらはもともと「身内」で作業を早く進めるためのものであり、一般の人には理解していただく必要がないもの。
音楽の演奏でいえば「キーはツェーで!」と言えばCをキーにセッションすることになるし、映像制作では「ケツカッチンなんで基本マキで!」と言えばスケジュールが詰まっているので早めに進めようだし。
こんな業界用語を使うのは音楽業界全ての関係者の訳ではなく演奏者だけが使う、映像制作も収録現場だけでしか使わない。
そうは言っても、最近では業界用語はあまり使わなくなった、関わる人が増加して一般化することに伴い「仲間内だけの言葉」が消滅していく。
なるほど、Webの世界はまだまだ無くならないから「業界用語」を覚える必要がある?
そうも言ってられない。
AIが進化していくにしたがってwebマーケティング自体がAI化していく。
人間同士の会話が必要なくなるので「用語」も必要ない。
将来なくなる言葉を一生懸命覚えたところで一体何になるのか?
ましてや、現在生まれている用語のほとんどが「広告」に関する造語である。
その用語が普及することで「得する」人たちがいる。
「得する」人たちのために一生懸命に用語を覚えるなんてバカバカしいことだと思うのだが?
「この業界にいるんだったらこれくらい覚えろよ!」と良く言われるが、あまり必要がないと感じる。
なぜなら上記のような理由があるから。
「用語」を使いまくっている人たちは、言葉を記号化して『知っているものだけの優越感』に浸っている人たち。
AI化が進むと消滅するような言葉を一生懸命覚える必要はない。
Webマーケティングに関わる人にとっては必要な用語でも、他の仕事をするのであれば役割によって注力するところは変わってくる
営業職であればwebの専門用語よりも、相手の気持ちを理解する、伝え方を工夫する、実行力を鍛えることに注力するべき。
必要最低限の業界用語を「理解」し、その考え方を解釈することは必要ではあるが。
さらなる専門的な知識が必要であれば「業界人」に相談すれば良いのだ。
「言葉とは相手に正しく伝えるもの」である。
業界用語を連発して何語だかわからない言葉で相手を煙に巻くようなことをするのは良くない。
「じゃあ用語を勉強すればよい」はあまりにも不遜だ、「誰にでもわかりやすく伝える」ことがプロの仕事であろう。
日々生まれるが将来なくなるかもしれない用語を一生懸命に覚えることよりも大切なことがある。
急激に変化が訪れている現在、現場にばかり目線を置いておくと将来に大きな禍根を残すことになるかもしれない。
視点と視野を変えていく必要がある。