実に発見のある取材だった!
1つ目、米中貿易摩擦の取材をしている際に発見した。
自分の作った商品がどこで売れているのか、何に使われているのか、わかっているのが普通だと思っていた。
ところが、自分の作った製品がどこで使われているのか?どこの国で使われているのか?がわからない業界があるらしい。
日本が得意とする「半導体関連」
普通の商売って「メーカー」から「部品業界」に発注があって必要な数量がメーカーに届けられると思うでしょ?
ところがメーカーから直接発注されることは少なくて、間に「商社」が入る。
その商社はメーカーを伝えることなく部品を発注するらしい。
だから、部品業界の会社は自分の作ったものがどこで使われているかを知らない。
極端な話、日本、アメリカ、中国、世界中のどこで使われているのかがわからない。
これは知らなかったなぁ、驚き。
さらに取材を進めて行くと、意外な事実にたどり着く。
業界のサプライチェーン(原料から消費財流通までの過程)は日本の半導体がアメリカの部品に組み込まれて中国に輸出されて最終商品になってアメリカに輸入されているケースが多いらしい。
日米中合わせて商品を作りながら流通しているのに米中で関税の掛け合いをやってるってバカらしくない?
自分たちの首を締めあってるのが今回の米中貿易摩擦。
両者ともに勝者はなし、と言う結論になりそうなのだが・・・。
部品業界にとっては、少しばかり良いことがるかもしれない。
今まで不透明であったサプライチェーンが明確になり「自分の商品がどこで使われているのか」がわかるようになる。
そうなれば、価格交渉も需給把握も容易にできるようになる。
業界の常識が変化するきっかけになるかもしれないらしい。
それにしても知らなかった!自分の商品がどこに行くかわからないことも衝撃だし、国を超えたサプライチェーンも驚きだし。
日米貿易摩擦の頃の常識なんて全く通用しない、常識は変わっているのだ。
もう一つ。
婦人服を製造する会社に取材しに行ったときの話。
有名ブランドの服を製造している会社。
普通は「メーカー(ブランド)」がデザインした服を「製造会社」に発注して小売や問屋に卸すやり方が我々のイメージ。
今はかなり変わっている。
アパレルメーカーがデザインするケースが減っているらしい。
ファストファッションの流行ネット販売の普及で商品サイクルが短くなり、デザイナーの仕事が減っている。
むしろ製造会社側に最新の技術やスタイルの情報を要望するようになった。
製造側はメーカーからの要望に答えるために、海外視察したりサンプルを購入したりと先端の技術やデザインを学ぶ、仕入れる。
メーカーは商品開発よりも「販売」に力を入れる。
一方で小売サイドも変化している。
ファストファッションの全国展開や最近何かと話題の〇〇タウンなどのネット販売が市場を席巻している。
この流れから販売サイドから製造側に商品を直接発注するパターンが増えてきてる。
いわゆる「プライベートブランド」の開発である。
それぞれの商売の範疇を越えながら業界の構造が変化している。
今まではそれぞれの領域を侵すことなく、相互依存の中でビジネスが成り立っていたが、これからはその垣根を超えてどんどん変化が起きてくると言うことなのだろう。
自分にとって常識と思っていたことが実は違うとか変化していたってことは、新たな発見として面白い。
昔学んだことをブラッシュアップしないと今の常識に取り残される。