月曜日の午後、営業メンバーからのLINE。
「ケイコとマナブ.netが2020年1月末で終了するらしいです」
取引先からの情報で、リクルート(R)社からお客さん宛に一斉に知らせが届いたらしい。
各メンバーへ確認を依頼する。
どうやら本当のニュース。
「ついにそうなったか・・・」
会社に戻り、古株メンバーと話をする。
「ついにこの時が来たんですね」
「うーん、何というか感無量だなぁ」
渋い顔して雁首を揃える我々を若手社員は不思議そうに見ている。
彼らにはケイコとマナブという存在はあまりにも薄い。
1990年、R社が発行した、おけいこ情報誌「ケイコとマナブ」
当時はまだR社グループに在籍であったので創刊の時のことを覚えている。
法人向け事業が中心のR社のなかで消費者向けのカルチャー情報誌はかなり異質な存在であった。
発行から数年、おけいこ・資格ブームが起こりケイコとマナブ全盛期が訪れる。
ブーム全盛期、すでに起業していた我々は競合誌「マイレッスン」を立ち上げる。
しかし、ケイコとマナブの牙城は揺るがない、新雑誌は取引を伸ばすことに苦戦した。
結果的にマイレッスンは創刊から5年(たぶん)で休刊になった
一足先にマイレッスンから離れていた我々はインターネットのビジネスを始めていた。
ケイコとマナブとの競合サイト「BrushUP学び」
R社はまだネット化していなかったので日本では初めてのスクール情報サイト。
ビジネスモデルは「広告掲載型」ではなく「従量課金型」という新たなモデルへ。
まだネットビジネスという言葉もないような時代、お客さんも疑心暗鬼で取引は少なかった。
数年後、R社のケイコとマナブ事業部長が挨拶に来た「当社も従量課金でやりますので」
仁義を切りに来たというのだ、しかし単価は当社よりも1000円高い。
ケイコとマナブは雑誌とwebのメディアミックスでお客さんへ提案する。
かなりの強敵だった。
その頃、当社BrushUPの営業マンは「本当に厳しい営業だった」と当時を振り返る。
世の中にはなんとR社びいきが多いのだろうかと嘆いたものだ。
それでも我々は質の高さに拘った、至近の売上よりも長い目でお客さんと付き合うことを優先する営業スタイル。
スクール情報サイトは実質的にはR社と当社で2強となり、現場でもよくしのぎを削っていた(と思う)。
転機がやってくる。
R社の上場、ホールディングス体制、そしてスタディサプリの成功。
スクール情報への情熱が冷めていくのと連動して経営資源の投入を減らしていった。
「最近R社は元気がないね、取引先も減ってきてるよね」なんて会話が営業マンから聞こえるようになった。
そしてついに来年早々に撤退するとのこと。
スクール情報という新たな事業領域を開拓し、まだ未開拓であった市場を広げていってくれた。
我々は彼らの歩いた軌跡を後から追えばよかった。
ビッグネームがあるからこそ、2番手として新たなビジネスモデルに挑戦することもできた。
30年という長きにわたり業界を導いてくれたことは感謝の気持ち以外にはない。
マイレッスン時代を含めると20数年戦ってきて、ついにトップの座に就くという喜びの気持ちはない。
我々はこれからケイコとマナブに代わる役割を担って業界の推進役としてビジネスに携わっていかなければならない。
それを考えると身が引き締まる思いだ。
これから先、我々の競合と思われるビジネスはこれまで想定していたようなものではないかもしれない。
次の時代にそれら新勢力に負けない知恵とクオリティと顧客志向が必要になる。
更に前に進もう!